本格的な農業の季節を控えて、不足している肥料の問題を解決するために、北朝鮮政府が代替肥料の生産に総力をあげている。そうした中、両江道の金正淑郡に住む7人の戦争老兵の話が模範事例に選ばれて、各種の講演会で感動を与えていると伝わった。
30日にデイリーNKと通話した両江道の消息筋が、「27日に開かれた道の党幹部の講演会で、フクボサン肥料の問題を取りあげて、党の責任書記キム・ヒテクが直接講演をした」と述べ、「講演の途中に金正淑郡にいる7人の(戦争)老兵の話が出て、幹部たちはおごそかな雰囲気の中、この話に耳を傾けた」と話した。
「フクボサン肥料」は、腐植土1トンに窒素肥料を50キロ、有機肥料を200キロ混ぜて、およそ40日間発酵させたものだ。北朝鮮政府は、この腐植土は普通の腐植土よりも肥料の効果が30倍以上高いと説明している。
道の党の責任書記が直接出演して講演するのは極めて異例なことだ。消息筋によれば、この日の講演は代替肥料の問題に取り組んでいる北朝鮮政府が、フクボサン肥料の生産を工業的な方法で解決することに関する内容だったという。講演で書記が、最近両江道の金正淑郡で7人の戦争老兵が、2千トン以上のフクボサン肥料を生産して、自分たちが持っていた土地まで全て国に捧げたと紹介した。
老兵たちは「苦難の行軍」の時に食糧の供給が途切れると、集団で山に登って畑を作って生き延びたという。毎年、畑の面積を増やして、たくさんの土地を保有するようになった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面この人たちが無断で国家の山林を開墾したことに対して、数度にわたり司法当局から警告があったが、戦争老兵という地位と、国家が配給を供給することができなかったという実情から、何の処罰も受けなかったそうだ。
だが、去年の12月3日に道別に行われた「革命家遺児大会」に参加して、「国家功労者に対してだけ特別に配給を与える」という政府の指示を聞き、実際に配給が出ると自発的に土地を国家に返したそうだ。
消息筋は「この老兵たちは『党が私たちを特別に思ってくれるのに、私たちも党の信任に恩返しをしなければならないのではないか、これまで国の土地で農業をして暮らしてきたのに、どうして補償もしないでそのまま返すことができるだろうか』と、自らフクボサン肥料の生産に決起した」と伝えた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面老兵たちは冬の間、ずっと山にこもって周辺の山林から腐植土を集めてきて、2千トン以上ものフクボサン肥料を作り、全て政府に捧げたという。
イ・ビョンギという名前の老兵は病気にかかっていたにもかかわらず、辛い労働をすすんで行って畑で亡くなったそうだ。この事件をきっかけに、北朝鮮政府は「八盾ノ近い老兵たちが命をかけてまで肥料を作り、大切にしていた土地も政府に差し出した」と伝え、住民たちを対象に「愛国熱気」を盛り上げているという。
消息筋は「この人たちの話が伝わって、金正淑郡の青年や街頭の女性がすすんで「生産突撃隊」を作って、フクボサン肥料の生産に奮い立った」と言い、「党はこうした模範を道のすべての郡に広めて、大衆運動に拡大させる決断をした」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面だが、戦争老兵の話を聞いた住民たちは、配給をもらった人の話だろう、配給をきちんとくれれば腐植土を何百トンでも差し出すことができると言っているそうだ。
消息筋は「今年は山林造成問題のため、個人が所有している畑を全て回収しようとしていて、この人たち(戦争老兵)がでしゃばっている」と陰口を言う人もいると伝えた。
更に、「戦争待避訓練だと言って迷惑をかけているのに、今回のことで個人や世代別にフクボサン肥料の生産という課題が出そうで心配だ」と話した。
北朝鮮政府は李明博政府になり、6・15、10・4宣言の不履行を理由に、南側の肥料の支援をはじめとする政府間の対話を断っている。そうした実情から北朝鮮政府は、去年から堆肥増産運動を督励している。