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1990年代の経済難以後、北朝鮮国内で不正腐敗が蔓延しているが、大規模なドルを扱って外貨稼ぎをする企業所が非理の温床として注目されている。

非理がはびこっている所としては、税関や国境警備隊、軍部の物資管理所、商業管理所もあげられるが、外貨稼ぎをする企業所は非理の規模からも、また権力機関が補助機関のように縛られていることからも、北朝鮮の不正腐敗の縮小版という言葉まである。

金正日の身近の安全に責任を持つ護衛(総)局(韓国の青瓦台の警護室に当たる)に属している外貨稼ぎ用の企業所「チョンウンサン」の指導員として働いた脱北者アン・ホンシク(2007年に韓国入国・仮名)氏と30日に記者が会い、外貨稼ぎ企業所の不正腐敗について聞いた。

護衛局の外貨稼ぎは「チョンウンサン」という本社が担い、その傘下に様々な会社があったという。外貨稼ぎ機関をまとめるためには、まず国家的事業の基金の用意という対外的な名分が必要だ。そのため、会社はもっともらしい名分を立てて、方針を受けて外貨稼ぎを組織する。

例えば護衛局の組職部が「ヨンウォン発電所」の建設を請け負ったため、これを名分にして建設資金が必要だと言って外貨稼ぎ会社を組織して、建議書を上げて承認を得るというふうに行う。

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部署ごとにそれなりの名分を立てて会社を作るが、中でも有名なのが護衛局政治部が2004年に組織したサムギョン会社(チョンウンサン5部)や、2004年に護衛司令官のイ・ウルソルの次女によって組職されたヨンモ貿易会社(チョンウンサン2部)などである。

アン氏が働いていた「チョンウンサン」という企業は、主に海洋資源で外貨稼ぎに乗り出した。しじみやはまぐり、い貝、なまこ、がざみ、ヒラメなどの魚貝類の輸出が外貨稼ぎの源泉になっていた。

アン氏は「当時、外貨稼ぎの指導員として働いていた時に私が見た統計文書によると、2005年10月から2006年4月まで6ヶ月間、黄海南道の海州から輸出されたしじみだけで2千トンあった」と言い、「上部に報告するための文件には、しじみ1トン当たり750~850ドルと記録したが、実際に中国と契約して販売する時は1千ドルで取り引きしていた」と話した。

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また、「結局1トン当たり150~250ドルは会社がそのまま手に入れる利益で、このお金は本社の社長と支社の社長、お金を管理する幹部がそれぞれ分けていた」と説明した。

残ったお金は外貨稼ぎの企業所だけでなく、採取事業が行われる道の党の幹部の懐も満たすことになるとアン氏は証言している。

さらに、「初めて外貨稼ぎをした時は『場所代』について言ってくる所はなかったが、じっと見ていた道の党の幹部たちが、外貨稼ぎで分け前を得ているのに自分たちだけには何の利得もないと思うようになった」と言い、「党の幹部たちはそれ以降、外貨稼ぎをする幹部たちに、『私たちの道内でそのままお金を稼ぐことはできない。場所代を出して外貨稼ぎをしなさい』と要求して、1%を貢がせた」と説明した。

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アンさんはまた、「2003~2004年まで海の資源を採取して大々的に外貨稼ぎ事業を行ったので、(魚介類が)無くなっていった」と述べ、「結局養殖場の問題がとりあげられて、それによって器具を持ち出すことに対する方針が出たり、会社ごとに海に区域を分けて杭を打つという寸劇も見られた」と明らかにした。

特に、「外貨稼ぎをする企業所が海の区域を決めてすべて独占してしまったので、一般の住民は生活の道が途絶えてしまった…結局、外貨稼ぎをする企業所に入って働くしかなかった」と指摘した。

このようにつながった「不正腐敗」の連結の鎖には、保衛部(検閲機関)や保安署(警察)、党の機関、道の人民委員会の審議課の幹部までがかかわっているという。

アン氏は「北朝鮮では、外貨稼ぎは必ず方針を受けないといけないが、人民委員会の審査課で方針の真偽の可否に対する審査を行う」と説明し、「無事に審査を通過するために、審査課の人たちに『裏金』をやらなければならない国「になっている」と指摘した。

また、「外貨稼ぎをする企業は、自分の職員たちの食糧や燃料を優先的に保障しようとするから、ここ(外貨稼ぎ機関)に入るための『戦争』は本当に熾烈」と言い、「入りさえすれば生活の問題は気を使わなくてもよいから、人脈関係や賄賂など手段と方法を選ばない」と話した。

アン氏は最後に、「護衛局の傘下の事業所で、そのようにたくさん外貨を稼いだが、権力層の幹部たちがそのお金を分け合うので、護衛局の隊員たちは食べ物が足りなくなり、真夜中に軍官の私宅に入り込んで食べ物を盗んで食べるなど、北朝鮮の最精鋭である金正日の護衛兵とは思えない情けないことが起った」と話した。

更に、「上はお金を横取りして自分のお腹だけ満たして、下では食べ物が不足して上官の家を襲ってお腹を満たすという現象が見られる」と言い、「結局、外貨稼ぎ事業は金正日と幹部たちのためのものに過ぎないから、一般の軍人や庶民には何の恩恵もない事業だ」と糾弾した。