北朝鮮が米韓合同軍事演習であるキーリゾルブやイーグルを理由に、軍の通信線を遮断し、開城工団の通行承認をしなかったため、全面的に中断された開城工団の通行が、30時間経った10日に正常に戻った。
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北朝鮮は10日の午前9時10分に開城工団管理委員会を通じて、韓国側に、9日に中断した韓国側の関係者や車両の軍事境界線の通行を再開すると通報した。
軍の通信線はまだ遮断されたままだが、KT通信ラインでつながっている開城工団管理委員会の事務所に勤務している南北の担当者が、韓国軍と北朝鮮軍の担当者をつなぐという方法で軍事境界線の出入承認業務を行った。
それにより、前日に開城工団から韓国に帰ってくる予定った80人は11日に帰ることになった。10日に京義線と東海線の陸路を通じて訪朝した韓国人250人も韓国に帰ってくることが可能となった。
こうした唐突な北朝鮮の通行正常化措置について様々な解釈が出ている。
まず、北朝鮮が軍の通信線を遮断することは逆効果になる可能性があることを、事前に認識していなかったという分析が出ている。軍の通信線の遮断が開城工団の出入りと結びつき、全面遮断につながるとは予想もできなかった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮は南北間の政治・軍事的合意を全面的に無効にすると発表し、軍事境界線での衝突の可能性を高めるなど、南北間の緊張を高めて、民間レベルの交流・協力、特に開城工団の活動は続けてきた。
人民軍・総参謀部は軍の通信線を遮断することで、キーリゾルブへの不満を示した。南北間の突発な衝突が発生するのはもちろん、南北間の協議ラインが遮断されると警告し、緊張を高めたが、予想外に開城工団に直接被害が及んだため、困惑したという分析も出ている。
開城工団の生産が中断したら、北朝鮮としては賃金などで1年間3000万ドルに達する外貨収入源がなくなる。また、厳しい食糧事情の中に置かれている北朝鮮としては、労働者3万人とその家族も合わせた約10万人の生活も支援しなければならない重荷である。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面高麗大学のユ・ホリョル教授は、「開城工団が全面的にストップする可能性を考えられなかった軍部の幼稚な決定だった。開城工団の生産中止を考慮しなかったため、物資や人材の通行を許可した」と分析した。
また、「軍部の発表の時期を考えると、南北関係の緊張や米朝関係などを考えた上での決定ではない。結局開城工団の中断など予想外の状況になり、高官レベルで通行を再開することを決めたのだろう」と説明した。
開城工団の通行止めで南北間の緊張を極大化させ、アメリカとの対話を試みた行動だったが、予想外にアメリカや韓国の反応が厳しいため、一歩譲った可能性も考えられる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面これまで北朝鮮は、自分たちは韓国政府の対北政策で仕方なく強硬な姿勢で対応してきたと言い続け、韓国国内の葛藤を誘発してきた。しかし、今回の開城工団の通行止め措置は、韓国人関係者の生命と直結してしまったため、韓国の政界や国民の世論などが自分たちにとって不利に作用した。つまり、「得るものよりも失うものが大きい」と判断したため、一日で通行を正常に戻したという分析も出ている。
アメリカの国務省も、北朝鮮がキーリゾルブの演習に対して非難を続けているため、朝鮮半島の緊張が高まっていることと関連し、「許せない非生産的な発言」と批判した。
アメリカ・国務省のロバート・ウッド報道官は9日の定例記者会見で、「朝鮮半島地域で行っている合同軍事演習は、北朝鮮に対する脅しではない。現在朝鮮半島を脅かしているのは、北朝鮮が相次いで発表している好戦的な発言だ」と主張した。
一部では、南北関係の緊張を最大限に高め、アメリカを早く交渉のテーブルに呼び出そうという北朝鮮の思惑が一定の効果を得たという分析も出ている。また、非正常な国である北朝鮮の典型的な態度だという分析も出ている。
世宗研究所のソン・デソン所長は、「予測できない、正常でない国家である北朝鮮の典型的な姿だ。勝手に現状を読み、得になると思って遮断したが、不利になったため、再び解除しただけ」と話した。
また、「北朝鮮は予測不可能なため、いつまた開城工団の出入りを統制するかわからない。北朝鮮がアメリカと対話のために予測しがたい様々な圧迫用カードを出すだろう。北朝鮮の動きに一喜一憂せず、淡々とした態度を示すべきだ」と強調した。