北朝鮮のアジア太平洋平和委員会のリ・ジョンヒョク副委員長が、6・15共同宣言と10・4南北首脳宣言の「一部の条項は履行に問題があり得る」と認めたことが分かった。

イギリスのデビッド・アルトン上院議員らが最近北朝鮮と韓国を訪問した後に提出した政策報告書に、リ・ジョンヒョク副委員長が南北対話の条件として、韓国が2つの宣言を尊重しなければならないと述べたと書かれていると聯合ニュースが18日に報じた。

報告書によると、当時リ副委員長は、親善議員団の委員長としてアルトン議員一行と面談した。

リ・ジョンヒョクの言葉が北朝鮮政府の公式の立場であるならば、北朝鮮も両宣言の履行の過程で、一部修正することが避けられない点を認めたことになり、注目される。だがこれまで、北朝鮮が統一戦線部や祖平統などの対南機関を通じて、これに関する立場を明らかにしてきたため、公式の立場ではない可能性が高い。

また、リ・ジョンヒョクが「韓国が2つの宣言を尊重していない」と言ったことは、現在の南北関係の責任が「韓国」にあることを強調するための表現であると思われる。

韓国政府はこれまで両宣言について、「尊重」するという立場を明らかにしながらも、財政問題などを理由にあげて全面的な履行に対しては慎重な反応を見せ、具体的な履行に関しては北朝鮮と会って協議しなければならないという立場をとってきた。

リ・ジョンヒョクの「一部の条項の修正」という発言も、韓国との交渉の可能性を開くものというよりは、最近祖平統が宣言した「南北間の政治・軍事的合意の全面無効化」の延長線上のものであると解釈される。

国家安保戦略研究所のキム・ファンソク研究委員も、「南北間の政治・軍事的合意事項の無効などを盛り込んだ、祖平統の声明の延長線上のものと思われる」と言い、「6・15、10・4宣言内の政治・軍事的合意事項を履行しないという意思を強調したもの」と推測した。

報告書によると、リ・ジョンヒョクは両宣言の一部の条項の履行に問題がある可能性があることを認めたが、「2つの宣言に反対することは、(韓国の)新政府が南北統一に反対することを象徴している」と言い、韓国政府が両宣言を拒否していると一方的に主張した。

リ・ジョンヒョクはまた、「自分たちはこれ以上、過去の南北合意に拘束されない」と主張している。一方で、6・15、10・4宣言が復元されれば、対話の再開も可能だと付け加えたと、報告書は説明している。