開城工業団地事業はこの間両面性を見せてきた。
第一に、北朝鮮の市場経済の学習等という、肯定的な側面だ。市場経済の核心である契約関係を重視することで、一定の学習効果がもたらされる。また、働いただけ利益を得ることができるという学習効果もある。
一方で、開城工業団地で稼がれる現金が、核開発などの軍事費に転用されるという疑惑と、勤労者の賃金の大半が結局、金正日の独裁統治資金として流れて行くという批判がある。同時に、北朝鮮政府が開城工業団地を韓米離間策として活用するという主張もある。
こうした両面性にもかかわらず、開城工業団地事業は4年目に入り、南北経協の代表的な経済協力事業となった。
現在、開城工業団地では1万1千342人の北朝鮮の勤労者が働いている。累積生産額は1億ドルを超えた。輸出実績は年末までで、2,100万ドルを記録、成長の過程にある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面開城工業地区の2000万坪の3段階開発計画のうち、100万坪にあたる第1段階の事業は完了段階に入った。政府は25日、”来る4月に開城工業団地の第1段階の残りの分譲を行い、下半期には第2段階の開発準備に着手する”と明らかにした。開城工業団地の第1段階の造成事業に、約3500億ウォン(2006年12月までの政府及び民間総投資額)という莫大な資金を投資した。
開城工業団地事業は、既に相当部分進行され、長期的に北朝鮮内部に市場経済を定着させるための南北経済協力モデルを作ることができる可能性が高いため、引き続き推進されなければならないという意見が多い。
開城工業団地の入住企業は、“これからより多くの企業が進出を控えている”と述べ、“これからは政府の理論よりは企業の理論が公団の運営を長続きさせる側面が大きいため、開城工業団地は推進し続けなければならない”と主張する。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面しかし、開城工業団地を通じて改革開放の促進など、肯定的な方向に進むことができる可能性を一層高めるためには、改善しなければならない点も山積している。.
現在、北朝鮮政権が改革開放をしていない状況で、開城工業団地は限界があるという指摘と、開城工業団地に流入する現金が金正日政権に流入する可能性があるという指摘が出ている。
更に、南北経協モニタリングを行ってきたNGOは、開城工業団地の肯定的な面に同意しながらも、開城工業団地内の企業が市場経済に即した運営を行えなければ、生産性の低下など、多くの限界にぶつかると指摘する。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面◆ 開城工業団地、開放に友好的な 北の官吏を鼓舞させるだろう = この間、‘開城工業団地が北朝鮮の実質的な改革開放に寄与するのか’ということが、主な争点になってきた。政府を含めて開城工業団地事業を支持する人々は、北朝鮮の改革開放を誘導する基盤になると評価している。
現在、開城工業団地のモデル団地には、15の企業が入居している。本団地には24の企業が入居する予定。モデル団地で働いている北朝鮮の住民は1万人以上だ。今後の分譲が蹉跌を来たさずに行われたら、開城工業団地の本団地に300以上の企業が入居することになり、10万人以上の北朝鮮の勤労者が、南側の勤労者と共に働くようになる。
これは北朝鮮の勤労者と、韓国の勤労者との接触が増えるだけでなく、市場経済を経験するようになるということを意味する。それだけでなく、北の勤労者1世帯当たり4人の家族がいると仮定すれば、40万人以上の北朝鮮の住民が、直間接的に市場経済に接するようになると思われる。これには北朝鮮の今後の改革開放で主要な役割を果たせる人材を養成するという肯定的な側面がある。
特に、開城工業団地を通じて流入する韓国社会に対する情報、すなわち市場経済の流入は、北朝鮮の開放に対して友好的な考えを持っている北朝鮮政府の幹部らを鼓舞させると思われる。更に、開放に保守的な北朝鮮の高位官吏らの考えを変える役割を果たすとも思われる。
ドン・ヨンスン、サムャ東o済研究所経済安保チーム長は、最近発表した論文で、“開城工業団地には1万人以上の北朝鮮の労働者がいるだけでなく、公団の拡大によって10万人以上に増加するだろう”と述べ、“南北間の接触の拡大を通じて、北朝鮮が変化を選ぶことができる今後の転換を導き出すだろう”と予測した。
◆ 北、改革開放の意志なく、開城工業団地に限界の主張も = しかし、これに対する反対意見もかなり出ている。開城工業団地事業がきちんと推進されればこそ、こうした効果を期待することができるが、現在の金正日政権は、明るい未来を期待し難いという指摘が出ている。北朝鮮の実質的な改革開放を導き出すためには、北朝鮮政権の意志が最も重要だということだ。
これは北朝鮮の改革開放は、北朝鮮政権の決定が重要であるため、開城工業団地だけでは、改革開放を導き出すには力不足という意見である。また、北朝鮮の開放は総合的な改革が伴えば効果が見られるが、現在、北朝鮮の改革が正常に行われていないため、開城工業団地に大きな期待をかけられないという意見もある。
もちろん、北朝鮮の住民の意識の変化など、ある程度市場経済を学習するようになる機会になる可能性はあるが、窮極的には、北朝鮮政権の改革開放の意志がない以上、限界があるというのが、専門家らの大体の意見だ。
特に、北朝鮮は核開発で国際社会の制裁を受けており、保有した核をあきらめる可能性も見えていないため、こうした指摘が説得力を持っている。6ヶ国協議の‘2・13 合意’で、南北、米朝の和解のムードが造成されてはいるが、北朝鮮が窮極的に核をあきらめないとの予測だ。
韓国銀行の金融経済研究員の、イ・ヨンフン北東アジア経済研究室課長は、昨年末に発表した‘南北経協の現況及び評価’という論文で、 “南北の経済協力は北朝鮮の経済の回復に成果をおさめているが、北朝鮮の改革・開放の誘導には、大きな効果をおさめることができない”と評価した。
ヤン・ムンス北韓大学院大学教授は、去年開催された南北経協政策シンポジウムで、“開城工業団地の開発に関して、北の核とミサイル問題が最大の変数”と言い、“核問題の解決の兆しが見えない状況で、開城工業団地の第2段階開発の着手は難しい”と予想している。
(下に続く)