北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市にあった「3月10日製鋼所」が解体され、道路、緑地、アパート団地が建設されていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。
北朝鮮で3番目の大都市で工業都市でもある清津市にあった「3月10日製鋼所」は、元々は日本の植民地時代に建設された「三菱鉱業清津製鉄所」だ。
従業員数5000人を超える「特級企業所」で1959年3月10日、故金日成氏が現地指導に訪れたことから「3月10日製鋼所」と名付けられた大製鋼所だった昨年に解体された。
実は、90年代中盤からは、苦難の行軍の時期に稼働停止。従業員たちが、製鋼所内の部品などを大量に持ち去って売り払ったことから、既に復旧は不可能な状態だったと現地の情報筋は語る。
工場建物は、昨年すべて爆破解体され、残っていた設備は金策(キムチェク)製鉄所や城津(ソンジン)製鋼所に移動し、跡地には再開発が進められている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面現地の別の情報筋によると、金日成銅像のある広場から南に向けて道路建設と緑地造成が進み、残りの土地にはアパート団地や「清津便宜総合事業所」なども建設されている。
完工は、労働党創立70周年記念日の今年10月10日だが、敷地が広大なため間に合わないのではないかと情報筋は見ている。
一方、「由緒ある製鋼所がなくなったことで一抹の寂しさを感じる」と語る消息筋もいる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「3月10日製鋼所は、金策製鉄所と並んで清津の誇りだった。その工場がなくなることで清津が衰退しているように思える。そして、なくなっても北朝鮮の経済に大きな影響がないのが、なによりも悲しい」