アメリカ国内の北朝鮮経済専門家である、ピーターソン研究所のマーカス・ノーランド研究員と、カリフォルニア大学のスティーブン・ハガード教授が共同で北朝鮮の食糧難に関する著書を出版し、”北朝鮮の食糧自給能力には限界があるため、経済改革を断行して国際社会にくわわることだけが、慢性的な経済難を解決する策である”と主張した。
両教授は、数年に渡って発行した北朝鮮関連の報告書を集めて、3月に『北朝鮮の飢饉-市場の支援と改革』(Famine in North Korea: Markets Aid, and Reform)を出版した。
この本で著者は、”北朝鮮の食糧難は基本的に食糧自給体系が失敗したため”と言い、”北朝鮮政府がもう少し早く国際社会の食糧支援を要請したり、海外の借款を誘致することができる輸出規模を維持していたら、食糧難は発生しなかっただろう”と指摘した。
また、”北朝鮮は耕作地が不足しており、気候条件も劣悪であるため、どのような方法を使っても、国内の生産には限界がある。中国やベトナムのような農業経済は不可能”と述べ、”したがって経済改革を通じて工業分野などの輸出をふやし、必要な食糧を輸入するのが唯一の解決策”と主張した。
◆ 90年代以後、下層から非公式市場経済化 = 著者は”北朝鮮の食糧難の長期的な解決策は、人道支援ではない”と述べ、”北朝鮮は経済と政治の改革を通じて、輸出を増やし、海外から投資を誘致して必要な食糧を輸入することができる能力を整えなければならない”と、経済改革の必要性を強調した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面更に、北朝鮮の食糧難が改善しない理由について、”1990年代の大飢餓以後、北朝鮮の住民の間では草の根市場経済が始まり、住民たちが直接お金を儲けて食糧を購入したが、北朝鮮政府はむしろ失敗した配給体系を再び始めた”と指摘した。
“北朝鮮の住民は飢餓を乗り越えるために、多様な方法を模索した。自鮪ゥ棄になった家族は、彼らが持っていた品物を食べ物と取り替えて売った”と述べ、”労働者単位でも似たような活動が発生した。甚だしくは、引き抜いた資産を中国で食糧と交換した。こうした活動は、下部から非公式の市場経済化が始まったことからも分かる”と説明した。
また、”北朝鮮に食糧を支援する海外の団体は、北朝鮮政府が配給の過程をより透明に公開することを要求しているが、北朝鮮政府はこれを拒否している”と述べ、”これはミサイルの打ち上げ、核実験などとともに援助が減った理由となり、したがって食糧不足が続いている”と説明した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面この本ではまた、北朝鮮社会に対する国際社会の人道支援の限界を指摘して、今後の対北支援の方法に対しても話題を投げかけている。
“北朝鮮政府は国際社会の人道支援の下で、国民を人質にしている”と述べ、”WFPとその他の支援団体は、住民が飢え死にしている時期も、北朝鮮に入国するために交渉をしなければならなかった。10年以上経った今でも、彼らは接近や活動において、大きな制限を受けている”と述べている。
また、”私たちが今まで見てきたように、北朝鮮政府は透明で効果的な人道支援を阻もうとした”と述べ、”対北支援の流用は幅広く大規模に成り立っている”と指摘した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面“流用の規模は北朝鮮の人口の3~10%を十分に食べさせることができる分量で、この支援の一部は軍部をはじめとする、政治的に連関した組職で消費されているのは確かだ”と付け加えた。
◆ 北の政権、極度の住民収奪繰り返す = 著者は”
この支援の一部が市場に流入するのは、一面で肯定的な効果もあるが、これも国家の企業やその周辺の人など、特権階層の形成に寄与することになる”と述べ、”このように分化された新しい特権層は、外貨と食糧に近付くことができる者と、それができない者に著しく分けられる”と説明した。
“ヨーロッパや韓国だけでなく、アメリカ国内の批判的な世論は、対北支援が現北朝鮮政権を延命させるのに寄与するだけだと主張している”と述べ、”彼らは北朝鮮を国際経済から遮断したり、外部の食糧支援を中断するなど、国際社会が共同の圧力を行使して、政権の変化をもたらすことができるはずだという結論を導き出している”と語った。
更に、”私たちも政権の平和的な変化が望ましいということに同意しており、北朝鮮に対する国際的支援を中断する国際社会の共同の戦略が、政権の変化の可能性を高めると考えている”、”しかし政権を変化させるために、人道支援を減らす政策に急に切り替えることは、多くの問題点を内包している”と指摘した。
著者は”北朝鮮政府は国民に極度の収奪を繰り返し強要してきた”と述べ、国際社会が今すぐ人道支援を中断したら、その被害は住民たちに直接はね返ってくると憂慮している。
また、”食糧支援の縮小など、戦略の変化が北朝鮮の政権の変化を導き出すはずだという可能性も確かなものではない”と述べ、”北朝鮮に対する国際社会の支援の縮小は、韓国と中国の支援の増加と連関しているため、一方が支援を縮小すると言っても、そこからもたらされる効果は期待以下になるだろう”と指摘した。
更に、”支援食糧の50%程度が軍隊や特権階層に流用されているが、残りの50%が脆弱な階層に渡っているという事実も考慮しなければならない”と述べ、また”市場は明らかに発展しており、2005年末の取り締まりにもかかわらず、運営が続いている”と付け加えた。