写真:金正日の金剛山ホテルの現地指導25周年にあわせて作ったモザイク壁画
北朝鮮が深刻な経済危機のなかでも体制の結束のために、北朝鮮全域に金日成・金正日親子の賞賛と偶像化のための建造物を相次いで作っているという。
北朝鮮は金日成一家の偶像化のために、90年代後半までは「革命戦跡地」、「史跡地」の造成や銅像の制作などに力を入れてきた。
偶像化の代表的なものはやはり金日成の銅像だ。中でも金日成の60回目の誕生日を記念し、1972年4月に建てた平壌の万寿台の丘にある朝鮮革命博物館の前の銅像が有名だ。台の高さが3メートルで全体の高さが23メートルに及ぶ。かつて銅像は金メッキに覆われていた。
このような銅像が平壌をはじめ、北朝鮮の主要都市70ヶ所にある。銅像以外に胸像、史跡物をあわせ、金日成親子をテーマにしたモザイク壁画を大々的に作っており、革命史跡の標識や碑なども相次いで建てている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面モザイク壁画は1200度で焼いたガラスやタイル、加工した天然石などを壁に唐髟?@で制作するもので、金日成個人、もしくは金正日と一緒にいるシーン、金正日の母親である金正淑の顔などがテーマとなっている。
2000年の北朝鮮メディアの報道によると、2000年には1つにすぎなかったが2002年には4ヶ所に増えたという。
更に、2003年には19個、2004年には49個、2005年には70個と急増した。さらに、2006年には55個、昨年は67個だったが、今年は11月末現在で88個に達する。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面モザイク壁画の規模も大型になっている。一般的に、長さと高さがそれぞれ5〜10メートル程度だが、最近は長さが30メートル、高さが20メートルを超えるものが作られている。
代表的なものとして、昨年4月に金日成の95回目の誕生日を迎え、平壌市楽浪区域の統一通りや万景台区域の光復通りに作られた壁画が挙げられる。「偉大なわが国、わが祖国、一千万年のさらなる繁栄を祈る」というタイトルの壁画で、長さと高さがそれぞれ42メートル、25メートルに達する。
それより1日早く完成した統一通りの「偉大な首領、金日成同志は永遠に私たちと共にいらっしゃる」も長さ33.7メートル、高さ22メートルの大きさだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面朝鮮新報はこれについて「この作品はこれまで国内で作られたモザイク作品の中で最大」と報道した。
金親子が視察した場所に建てる革命史跡の標識の碑や革命史跡碑も増えている。
北朝鮮は昨年、平壌の靴工場、キム・ウォンギュン名称平壌音楽大学、スサンャ淘フ育団、フンジュ鳥工場など31ヵ所に、今年11月現在、沙里院ぶどう酒工場、スンチョン第1中学校、カンゲ豚工場など37ヵ所に革命史跡の標識の碑を建てた。革命史跡碑は昨年、咸鏡北道の人民保安局など5ヵ所、今年は平壌の3.26電線工場など4ヵ所に建てられた。
2度に渡って北朝鮮を訪問し、「統制下の北朝鮮の芸術」という本を出したイギリスの美術学者ジェーン・ポータルさんは、「金日成の賞賛に対する欲はスターリンや毛沢東もお手上げではないか」といい、金親子の偶像化は世界一と評価した。
北朝鮮はそれ以外にも、従来の革命戦跡地や史跡地を再整備したり、新しい戦跡地を発掘して、団体踏査を通じて住民の忠誠心や革命性を高揚させることに力を注いでいる。
北朝鮮の朝鮮中央放送は先月24日、「咸鏡北道でヨンサ地区の革命戦跡地を管理し、党員や労働者たちに対する参観組織事業に取り組んでいる」と報道した。今後も偶像化がさらに強化されるという意味だ。