人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

筆者は前回のコラムで、2・13合意は金正日の一方的丸勝ちで終わったと批判した。それは北朝鮮の2002年と2007年の核の現況を比べて見れば明らかだ。

2002年には寧辺の核施設は封印されており、北朝鮮はNPT(核非拡散)体制下で、IAEA(国際原子力機関)の監視を受けていた。しかし、その後5年間、寧辺の原子炉を稼動し、再処理によって北朝鮮は約50キロ程度のプルトニウムを保有するようになり(クリストファー・ヒルの米議会聴聞会証言)、核実験を通じて事実上核を保有することになった。

問題は北の核の合意を通じて、長期的に廃棄しようとする対象がまさにこの5年間に北朝鮮が作り出した核物質だという点にある。また、北朝鮮の第2次核危機の口火になった高濃縮ウランの存在に対しても、アメリカ自らが確信を持っているというのが事実なら、この5年間、どういった理由で何のために北の核危機を‘起こしたのか’、問わざるを得ない。

あえてたとえれば、傍若無人の犯罪集団を刺激して良人を人質に取らせて、今になって人質を釈放してくれと言って交渉し、対価を支払うということと何が違うのか。

100回譲歩をして、北朝鮮の第2次核危機を‘こぼれた水’と認め、北朝鮮の核保有という現実を原論的かつ道徳的な次元ではなく、実現可能で平和的方法を通じて解決しなければならないということを認めよう。それならば、今回の2・13合意は最善ではないとしても次善にはなるのか。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

クリストファー・ヒルの誤った3つの計算法

筆者は2月27日に米議会で開かれた外交委員会の聴聞会記録を読んだ。

概してアメリカの議員は、クリストファー・ヒルの今回の北京合意を高く評価し、彼の忍耐心と外交的手腕に敬意を表するのをおしまなかった。外交官特有の謙譲の言葉だが、ヒル氏は自分が成した合意に対して大きな自負心があることを隠さなかった。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

しかし筆者は、今回の合意で、アメリカは戦術だけではなく戦略的に大きな判断の過ちを犯しているという考えを禁ずることができない。すなわち、今回の合意は最善でも次善でもなく、おそらくアメリカのまた一つの失敗談として終わる可能性が非常に高いということだ。その理由は何か。

クリストファー・ヒルによれば、第一に北朝鮮が今回の合意に応じた主な理由は、北朝鮮は核実験をしたが、核保有国の地位どころか、国連安全保障理事会の制裁対象国クラブに加わるだけになり、なによりも中国が北朝鮮の核実験に対して強腰な態度を見せたからだという。

第二に、北朝鮮が初期の履行措置として60日以内に寧辺の核施設を封鎖すれば5万トンの重油の提供を与えるが、その次の履行段階は具体的なスケジュールが決まっていないという議員たちの指摘に対して、ヒル氏は北朝鮮が‘すべての核施設とすべての核プログラム’のリストを提示して、不能化措置を取れば、その実行に応じて95万トンの重油を段階的に提供することになるから、北朝鮮は自国の利益のために迅速な措置を取るはずだという。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

第三に、今回の合意は米朝二国間の合意ではなく、6ヶ国の多者間の合意であり、特に中国が主要な役割を果たしたため、北朝鮮は合意を破らないと信頼しているという。

しかし、北朝鮮が合意に応じた動機と核の不能化あるいは廃棄の対価に期待すること、そして北朝鮮が約束を守らない場合に受ける不利益に関する米政府の判断に対して、筆者はどれも同意することができない。

第一に、よく知られているが、中国は北朝鮮の核実験以後、国連の北朝鮮の制裁に賛同したが、 実際にとった措置は初期の象徴的なものに過ぎなかった。ひいては、北朝鮮は核実験の際、国連の制裁があるだろうということを予想しており、これはミサイル打ち上げの時を考えてもあまりにも明白だった。かえって北朝鮮は核実験をしても、中国が食糧と石油の提供を中断することはできないだろうという点、すなわち北朝鮮の核保有よりも北朝鮮の崩壊を一層憂慮していたという点をよく分かっていた。

また、国連の対北制裁で‘言葉の聖餐’以外に北朝鮮を実際に圧迫したものがあるのか、一度よく考えてみる必要がある。

国連加盟国すべてが北朝鮮の制裁に対する履行事項を報告することになっているが、いくつの国がこの義務事項を実行に移したのだろうか。よく知られているように、現在、イランの核開発に対してもアメリカを除いた国際社会は、自国の利害から、事実上無関心だ。また恥ずかしく、残念ではあるが、韓国政府は核実験以後、どのような反応をしてどのような措置をとったか。米と肥料の支援を一時中断したが、内心では与えることができなくてやきもきしていたという点、はなはだしくは北の核の解決が霧散になっても提供するという話も聞こえてきた。

第二に、北朝鮮が60日以内に使いつくした寧辺の核施設を閉鎖するだろうというのはほとんど確かだが、その次の措置で、95万トンの重油の支援を早く受けるために、すべての核施設、すべての核プログラムを迅速に届けて不能化するだろうというヒル氏の考えは、率直に言って‘冗談’ではないのか疑わしいだけだ。ヒル氏自ら計算して提示したように、重油100万トンは約2億5000万ドル程度であり、韓国の貨幣にしたら2500億ウォンにもなる。北朝鮮の経済規模をかんがみる際、大きな金額であるのは間違いない。

しかし、北朝鮮が甚だしい経済難にもかかわらず、核開発と核実験に注いだ資金は、おそらくこれよりもっと多いだろう。甚だしくは、90年代にも金日成の宮殿墓を作るために、8億ドルを使ったという国が北朝鮮だ。ヒル氏は相手に現金袋を少しずつ与えてこちら側に引き入れるように、重油を北の核の不能化措置にしたがって段階的に与えれば、キャンディーを拾うように北朝鮮がこちらに近寄って来るかのように言っている。

しかし、北朝鮮が合意に同意した理由と、北朝鮮が核施設の不能化措置の履行を大したことではないと思うという理由は、クリントンの有名な選挙演説を引用したら、“頭を使いなさい、問題は韓国だ”と同じようなものであると言うしかない。

金正日の核は’耐久性商品’

筆者の観察によれば、北朝鮮は春の種まき期、春窮期の前後は、融和的な態度を見せて肥料と米を得ようとし、その後は西海交戦を起こしたり、各種の南北会談を霧散にすることで損なわれた自尊心と身の代金をかけて精一杯成果をあげ、秋期に再び肥料や米を手にした後は、何度か南北会談に応じつつ、肥料や米を要求して、ごっそり手に入れるという行動を繰り返してきた。

もちろん、金大中政権以後、今日まで韓国政府も肥料と米がこのような用途に使われ、また要求されているという点をよく分かっていた。まことに厚かましくて、まことに理解にあふれたペアであった。

今までの北朝鮮の行動は、イベントを約束して米と肥料をもらい受け、約束したイベントを味見だけするか霧散にさせて、身の代金を得るのがほとんど達人の境地であった。もちろん、韓国社会の記憶力がかなり低い水準であることもその必要条件ではある。例えば、今回の南北長官級会談で、これから議論すると約束をした国軍捕虜と拉致被害者問題は、2006年4月11日に、南北長官級会談で春期の肥料15万トンをもらって行った後、再び30万トンを要求して、議論することにしたアイテムだ。当時はDJ(金大中)の訪朝も豚を焼く時に鶏もついでに焼くように約束して、その後、京義線の試験運行の霧散とともに中断した。

ひいては韓国が2007年に北朝鮮に(好きなだけ)与えるために用意した資金だけでも、重油100万トンの4倍にあたる巨額、1兆ウォンだ。また、“北朝鮮にはいくら与えても残る商売だ”と公に言って通る韓国の大統領との首脳会談を含めて、大統領候補らを手懐けるための手段として、北の核の合意は取り柄があるだろう。 つまり、今回の合意は核の恐喝による金正日の最初の収穫だと思えばよい。

重要なことは、韓国からもらえる公開、非公開の支援が、これからは北の核の合意が延長・霧散してもしなくても続くだろうという点だ。万が一、初期の履行措置以降、アメリカと北朝鮮が“すべての核施設とすべての核プログラム”の’すべて’に合意できなかったら、すなわち高濃縮ウランの存在とプルトニウムの量と核兵器の数などで合意をすることができなかったら、どうなるのか。

ヒル氏は核施設と核プログラムに高濃縮ウラン(HEU)が必ず入らなければならないと主張するが、既にアメリカと韓国でさえ、これに対する疑問が露骨に提示されている状況で、北朝鮮がその存在を認めないだろうという点は、ヒル氏自身がよく分かっているだろう。それだけでなく、“核不能化”が何を意味するのか、いわゆる意味の問題が主張されるだろうということも明らかだ。更に、この問題に対してはスケジュールもない。このように時間が経つ場合、アメリカにはどのような代案があるのか。筆者の判断によれば、何もない。

重油95万トン? ヒル氏自身が認めているが、北朝鮮のエネルギーの10%にもならない量で、金額も韓国からもらうことができる支援と比較にならない。更には、北の核の合意の履行が先送りになる場合、中国が北朝鮮を制裁する方法も根拠も探すのは困難だ。なぜか。北朝鮮が履行の引き延ばしはアメリカの一方的固執、不確かな情報のためだと主張するのは明らかだからだ。

アメリカはまだ北朝鮮政権の本質を充分に分かっていないようだ。核をあきらめて北朝鮮が生存する方法は、もの乞いに頼り続けるか、でなければ開放することだ。

第一に、韓国政府が変われば、核なしにはもの乞いや恐喝も大変だろう。第二に、首領独裁と開放は水と油の関係にある。まさにそうした理由から、金正日政権は一度も長期的経済回復を国zしたことがない。むしろ、首領は経済に関心を持つことを敬遠してきた。

前統一部長官イ・ジョンソク氏が言うように、今後数ヶ月以内に、北朝鮮の核放棄の真正性に対する“本当の瞬間”が来るはずだという主張は愚かな考えだ。拉致被害者と国軍捕虜、京義線・東海線、そして各種の会談のようなイベントがあるが、‘北の核の廃棄’というアイテムは、やはり金正日には使い捨てではなく、再使用可能ないし、耐久性商品、あるいは‘将軍様企画’の長期公演の催しものだと見ることが、“久しい真実”だろう。