北朝鮮は国家の財政収入の拡大のために、市場経済活動を助長しており、これからは市場に頼らなくては生きて行くことができない段階にまで到逹したという主張が出ている。
北朝鮮民主化ネットワークが21日に4・19革命記念図書館で主催した‘2008北朝鮮開放戦略フォーラム’で、北朝鮮大学院大学校のヤン・ムンス教授が、‘北朝鮮の市場経済の要素と市場化の程度に関する分析’という主題の提案でこのように主張した。
ヤン教授は“北朝鮮の計画経済の部分は、市場経済の部分で発生する余剰を多様な経路を通じて受けており、これからは‘国家が市場に寄生して生きて行く’姿とやり方が深まる可能性がある”と指摘した。
また、北朝鮮経済の特徴について、“エリート経済(党の経済)、軍需経済、内閣経済、非公式経済(2次経済)など4つの部分に分化した”と述べ、“エリート経済と軍需経済、一部の内閣経済は計画経済の領域に属するが、住民経済と一部の内閣経済は社会主義国家としての責任を放棄した市場経済の領域に属している”と説明した。
北朝鮮の市場化については、“(生産財ではなく)消費財市場を中心に発展しており、貨幤はドルを軸に展開される特徴がある”と述べ、“7・1経済措置以後、国産の製品よりも中国産製品の方がはるかに多く増え、北朝鮮の市場の対外依存度が深まっている”と説明した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面一方で、北朝鮮の市場は“生産力の増大を伴わないことが特徴”と言い、これは“生産よりも流通の発達に起因している”と語った。更に、北朝鮮の市場化が“無制限に拡大すると期待するわけにはいかない”と予想した。
ヤン教授はこの日、北朝鮮の市場化の水準を調査するために、2004年と2005年に脱北者を対象に3回アンケート調査(1回目121人、2回目165人、3回目160人)を実施した結果を発表した。
その結果について、“公式の賃金の2~3倍水準の現金を納めて、工場や企業所に出勤しない人を称する8・3労働者の比重が平均42.8%に達すると調査された”と説明し、“主婦の市場経済活動への参加が平均73.8%と、主婦全体の3/4に達することが分かった”と私的部門の雇用の割合が高いと分析した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面更に、“サービス業でも私有化現象が起きている”と述べ、“食堂は平均54.4%、商店は40.1%、サービス部門は41.5%という調査結果が出た”と語った。外貨稼ぎをする貿易会社では、‘全く私有化されなかった’と答えた回答者が27.3%だったが、平均値を見れば32.9%が‘私有化された’と回答したと明らかにした。
ヤン教授は“北朝鮮の総合市場の登場は、商人階層の形成が可能にした”と述べ、“市場を通じて資本をためた‘トンジュ(銭主)’と呼ばれる人たちが登場し、大きなトンジュは直接出て来ずに5~6人ほどの代理人(中間商人)を置いて活動している”と説明した。
また、企業では“当初、計画を控えていなかった新規の製品を生産する‘計画外生産’の現象が起きている”と述べ、これが“売るための生産に商品の生産が拡大、発展するきっかけになった”と分析した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面更に、これまで北朝鮮では、長距離の大衆交通は列車がほとんど唯一の手段だったが、個人の商売が活発になり、軍隊や安全部、保衛部、工場などの各機関や企業所に所属するトラックや自動車などが車代をもらって大都市を中心に移動させてくれる‘サビチャ(サービス車)’が登場して脚光を浴びていることも紹介した。
極東問題研究所のホン・ソングク北朝鮮研究室長は、“北朝鮮が市場化を進展させると楽観するのは困難”と述べ、“これまでのように、北朝鮮の市場化は不安定な変化を繰り返す可能性が濃厚”と悲観的な展望を出した。
更に、“北朝鮮の変化は市場経済の変化というよりは‘北朝鮮の社会主義の変質’と分析する方がむしろ正確な評価”と主張した。
ホン研究室長は“(北朝鮮の市場化について)楽観的に接近する人たちは、最近北朝鮮で見られる一連の市場化現象について、甚だしい経済難がもたらした‘避けることができない経済社会現象’で、北朝鮮の市場化は拡散し続けるしかないと考えているが、北朝鮮の市場の形成が‘社会主義的経済管理’の枠組みの中での制限された改善という点からは、あえて顔を背ける傾向がある”と指摘した。
更に、“悲観論でも楽観論でも明示上にも暗黙的にも、北朝鮮の市場化を認めているが、楽観論者は‘意味あること’と認識しようとする傾向があまりに強い一方、悲観論者は‘些細なこと’と見なして、これをあえて無視するという差がある”と語った。そして、こうした見解の違いは“北朝鮮の‘市場の有無’ではなく、‘市場化の程度’にある”と説明した。
また、“北朝鮮の市場化は北朝鮮経済に対する支配力を持つほどはっきりとした水準ではないという点から、‘部分的市場化’であり、北朝鮮は政治が高度に優先される中央集権的計画経済体制から脱していない‘政治優先的経済体制’であり、初歩者の市場が形成されれば北朝鮮政府が市場の拡散を強力に統制してきた、‘慣性論と作用、反作用論’が作用している”と分析した。
次に発表した統一研究院のチェ・スヨン研究委員は、“北朝鮮で行われている市場化は、輸入の需要の増大を誘発して、貿易赤字の拡大の原因を提供しているだけでなく、国内の生産の萎縮につながっている”と述べ、こうした現象は“再び輸入の増加につながる悪循環を繰り返している”と分析した。
更に、“北朝鮮は外為不足によって海外からの持続的な輸入の拡大は事実上不可能な状況”と述べ、“国内の生産能力を向上させて国内の供給の拡大をはかるために、企業の生産活動に対する支援や企業の改革が必要”と指摘した。