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先月28日に‘幸せな世の中に私たちは住んでいます’という主題で初の個展を開いた脱北画家線無(32)さんに5日、展示会が開かれているソウル市チュンジョンノのテアン空間で会った。‘線無’には、南と北に分かれていない1つの世の中を念願するという意味があるという。

[次は線無氏とのインタビューの内容]

-北朝鮮で美術はどんな分野か?

“北朝鮮社会の芸術、特に美術は完全に政治的な仕事だ。北朝鮮社会では映画や演劇、文化などと共に、美術も社会を動かす1つの軸として作用しているからだ。

北朝鮮で個人の作品活動ができないということは、あまりにも当然のことだ。体制宣伝しかない。体制と関連がないのは金剛山や白頭山の風景、昔の山水画くらいだ。私は軍でも絵を描いたが、金父子の偉大性を象徴する絵と、彼らのための鉄砲・爆弾にならなければならないという宣伝画だけ描いた。北朝鮮社会を皮肉るというのはありえないことで、ただ韓国社会を非難したり、退けなければならないという内容だけだった。

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北朝鮮では軍や農場、企業、郡と里までに創作社があり、そこで絵が作られて宣伝されている。彼らは党の政治部が管理して育成している”

-北朝鮮では、画家はどのように育成されるのか?

“北朝鮮には美術の塾はないが、小学校や中学校の生徒たちの中から絵が上手な生徒を選んで美術班を編成して、放課後に指導する。その後、ずっと活動を続けたい場合は、平壌では平壌美術大学(4年過程)、各道では美術や体育、音楽を特性化した芸術専門学校(3年6ヶ月過程)に行くことができる。

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画家になるためには、もちろん絵を上手に描けなければならないが、優先するのは成分だ。成分がよくない場合、体制を宣伝することができないと判断される”

-韓国では、芸術はお腹をすかせる職業ともいう。北朝鮮ではどうか?

“北朝鮮でも、金父子の肖像を描くことができる特権がある一部の人だけが待遇を受けて、特権を享受することができる。この部類を除き、絵だけを描いていては、生計の責任を負うことができない。学校の教授が自分の絵を中国と密売して小麦粉と変えて食べるほど、残りの人たちは生計を維持するのが大変だ”

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-今回の展示会の主題は‘幸せな世の中に私たちは住んでいます’だ。どのような意味があるのか?

“‘幸せな世の中に私たちは住んでいます’というのは、北朝鮮で今も使っている宣伝文句だ。私はこの文句に反語的な意味を盛り込んで、‘不幸な世の中に私たちは住んでいます’と表現した。

絵に表現された、幸せを抑えられないかのように満面に笑みをたたえた少女や少年たちを見て、どうしてあんな表情はできるのかいぶかしがる。だが、これは幸せではない。幼稚園で学ぶ最初の言葉が‘お父様、首領様、ありがとうございます’であるため、彼らは可哀相な存在だ。幸せさえでっち上げているのが北朝鮮社会だ”

-展示会を開くまで苦労はなかったか?

“プアム洞のギャラリーで展示をした時、住民たちの抗議が続いて警察が出動したことがあった。また、ギャラリーを通り過ぎたお爺さんが入って来て、怒り出して今すぐ絵をはずしなさいと言われた。かかげられていた金正日の肖像画のためだった。

けれども、その肖像画は北朝鮮の国旗を逆に表現していて、北朝鮮の国旗の星が金正日の頭に向かっている、金正日と体制を批判する絵だった。

また、絵の中の子供たちの白くてすんだ笑顔を見て、子供たちの笑い顔がよいと評価してくれる方もいるが、ここにもやはり幼い時から金父子のために偽りの笑顔をたたえなければならない北朝鮮の現実を批判するという意味がこめられている。

子供たちのつぼみは全部黄色だが、これは金正日に対する‘警告’(イエローカード)を意味している”

-韓国の美術に接して感じた点はあるか?

“よく分からない。私が評価することができるだろうか。全体的には誰の干渉や統制も受けずに、多様な方法でそれなりに自分の意識を反映した美術活動をしていると思う。

だが、私にもどのような意味なのか曖昧模糊な作品もあった(笑い)。また北朝鮮社会と異なり、社会性が全くない、極めて個人的なものも多いと感じた”