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チャ・インピョ主演、キム・テギュン監督の映画‘クロッシング’の試写会が、28日にアメリカのワシントンで行われた。キム監督の映画の試写会が最初にアメリカで開かれたのは、この映画が北朝鮮の住民の悲惨な生活を描いているからだ。

アメリカでは数年前から毎年この季節に‘北朝鮮自由週間’が定められて、多様な行事が行われてきた。アメリカの人権団体がこの行事で北朝鮮の住民の話を素材にした映画‘クロッシング’を上映した。

クロッシングは咸鏡南道のサッカー代表選手だったキム・ヨンス(チャ・インピョ)の話だ。栄養失調で結核にかかった妻と11歳の息子を北朝鮮に残し、食料を求めて中国に向かうキム・ヨンス。

苦労したあげく韓国にやってくるが、北朝鮮に残した妻が死んだという知らせを聞く。筋書きは省略するが、映画では北朝鮮の住民の苦痛と悲しみが詳しく描かれているという。

試写会に参加した観客は映画を見ている間、始終涙をこぼしたそうだ。主人公のキム・ヨンスの息子が、死んだ母親が積まれたトラックに付いて走り、“うちのお母さんを連れて行かないで”と叫ぶ場面で涙をさそい、キム・ヨンスが妻の死亡の知らせを聞いて、“どうしてイエスは南側だけにおられるのですか”と泣き叫ぶ場面では、観客も声を出して泣いたという。

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徹底的に孤立した国で、飢えてぼろを着て、暴力に叩きのめされながらも生きて行くエリコの弱者たちの生身の姿を目の前にしたら、誰もが流れ出る涙を止めることができないだろう。

大きな画面の中に北朝鮮の住民の悲しみと苦痛が余す所なく描かれる瞬間、人々は首領独裁が支配する土地で展開される生々しい悲劇の真実を見ることができるだろう。絶望と独裁の泥沼の中に陥った人たちの悲しみと苦痛がありのまま、見る人たちの胸の中に深く染み込むだろう。時には自分の小さな力でも加えて、彼らを救援しなければならないという衝動が生じるだろう。芸術の力のためである。

ミュージカルヨドクストーリーを脚色した‘ラブインヨドク(love in yoduk)’も公演されている。小説‘ムクゲの花が咲きました’の作家、キム・ジンミョンが脚色し、作品の完成度を高めた。地球上で最も悲劇的な国の1つである北朝鮮で、苦しい生活を送っている人たちの話を聞いてみる人が増えるだろう。その人たちはまた、誰かに北朝鮮の住民の悲しい話を伝えるだろう。公演を見て、脱北者救援活動に乗り出す人もいるだろうし、北朝鮮の人権と民主化運動に跳びこむ若者が現れるかも知れない。それが芸術の力だ。

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北朝鮮人権団体が韓国に初めてできたのは約10年前だった。当時は北朝鮮の人権運動に関心を持つ人がほとんどいなかった。だが、少数の献身的な人の努力で、北朝鮮の人権運動の火種は消えなかった。その結果、少なくない人たちが北朝鮮の人権問題に関心を持つようになり、北朝鮮の住民の苦痛を世の中に生き生きと伝える芸術作品まで登場している。

芸術は人の心を動かす強烈なエネルギーを持っている。力量ある芸術家たちが一人、二人と現れたら、韓国社会に北朝鮮の住民の苦痛に共感して、彼らを救援しようとする人たちが爆発的に増える可能性もある。クロッシングを見た多くの人が泣いたということを聞き、’今や芸術家が乗り出す時ではないか’と切実に考えた。