北朝鮮は最近、韓国と通話した住民を処刑したという。北朝鮮は今年初めに「国家転覆陰謀罪」に該当する刑法第60条を改正。「韓国など外国との不法通話摘発時は最高死刑まで処する」との内容などを追加した。
両江道の消息筋は22日、デイリーNKとの通話で「今年初め、刑法が改正され恵山市でも死刑が実施された。そちら(韓国)とあちら(中国)に携帯電話を使用中の住民は恐怖に怯えている。以前なら賄賂で解決する問題も、今は例外なく処罰する方針になっており、住民はいつどのように摘発されるか分からず不安がっている」と伝えてきた。
消息筋によると、昨年に続き今年も国境地域での携帯電話使用者、脱北支援者、密輸業者などを対象にした大々的な検閲が実施されたという。検閲過程で両江道の道芸術団舞台照明士(リ・ギョンホ、49)が「見せしめ」に3月中旬ごろ、非公開で処刑され、その家族は保衛管理所に移送された。
消息筋は「リ・ギョンホが韓国にいる脱北者の家族と通話をしている時、村周辺を巡回中の保衛部要員の探知機に引っかかった。保衛部要員が彼の家に侵入するまでに携帯電話を分解し隠す時間がなかったようだ」と逮捕の経緯を説明した。
消息筋はリ・ギョンホが逮捕され調査を受ける過程で、脱北者の家族との送金作業を行う中で韓国との通話を続けてきたうえ、脱北者の家族の頼みで脱北支援まで行ったことが追加で明らかになったと話した。
彼はさらに「住民の間では『(リ・ギョンホが)脱北者が家族に送る送金の手伝いをしつつ、脱北者の家族を中国に脱出させることもしていたらしい』『送金だけで死刑にはしないだろう』という話が交わされている。リ・ギョンホ夫婦と親しかった住民の一部は『脱北を支援したため』という話も出ている。親しい間柄や家族同士では『行くなと言ってもここ(北朝鮮)での生活が苦しいから行くのだ』と話しては、(金正恩を)遠まわしに非難している。一部の住民は『生きるためには密輸も送金も必要。運悪く命を失わないか心配』と不安がっている。リ・ギョンホ事件を受け、現在は児童映画創作団副団長(リ・ソンz)の一番上の兄と功勲国家合唱団副団長(リ・チャングン)の二番目の兄も処罰されるとの奄烽