米政府系のラジオ・フリー・アジア は30日、北朝鮮が進める地方開発事業を巡り、住民への強制動員が一段と強まっていると報じた。凍てつく河川に入っての資材採取を強いられるなど過酷な実態が伝えられ、住民は疲弊しきっているという。
報道によると、北東部の咸鏡南道では今年、新たに複数の郡が「地方発展政策」の対象に指定された。従来は食品工場や日用品工場、被服工場といった軽工業施設の建設が中心だったが、今年からは病院や総合サービス施設の建設も加わり、工事量は倍増したという。匿名の住民は「年末までの完成を命じられ、地域当局は住民を頻繁に現場へ駆り出している」と証言。表向きは軍が建設を担う形をとりながら、実際には地域ごとに責任が押し付けられ、住民動員に頼らざるを得ない構図だと指摘した。
現場では、凍土が残る地面をつるはしで掘り起こす基礎工事に住民が投入されているほか、工場勤務の合間でも指示があれば即座に建設現場に向かわされるという。中でも過酷なのがセメントの荷下ろし作業で、「衣服も顔も頭も粉だらけになるが、体を洗う場所もない」との声が伝えられた。
さらに別の咸鏡北道の住民は、建設資材の供出も各家庭に割り当てられていると証言する。特に小石や拳大の砂利は入手が難しく、「まだ氷の残る川に入って採取しなければならなかった」と述べた。厳寒の中での作業は危険を伴うが、ノルマ達成を迫られているという。
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加えて、工事を担う軍部隊への支援も住民の負担となっている。食料や副食、手袋などの物資提供が各家庭に割り当てられ、「兵士が満腹でなければ工事が進まない」という論理が繰り返し強調されているとされる。
こうした状況に対し、住民の間では「地方発展政策が人を殺す」との不満が噴出している。年明けから冷たい川に入って資材を採取し、日常的に建設に動員され、さらに物資供出まで課される生活に「もう限界だ」との声も上がっているという。
北朝鮮は地方経済の底上げを掲げて開発政策を推進しているが、その実態は住民への負担転嫁に依存している側面が強いのだ。
