北朝鮮の首都・平壌で、韓国の映像作品などを長年にわたり視聴していた住民に対する公開裁判が行われ、重刑が言い渡された。家族も連座制により、処罰を受けたという。

デイリーNK内部消息筋によると、今月中旬、平壌市船橋区域で「反動思想文化犯罪」に関与したとされる住民の公開裁判が開かれた。この住民は数年にわたり家族とともに、韓国の映画やドラマ、音楽などを収めた映像ファイルを視聴していたとされる。

問題となったのは、USBメモリなどに保存されたコンテンツで、脱北者が登場する映像や韓国の大衆文化作品が含まれていた。ファイル名は一見して問題のない内容を装っていたが、実際には当局が禁じる「反動的思想文化」に該当する内容だったという。

この住民は、社会安全省(警察庁)の要職にある親族を後ろ盾に、以前から違法行為を繰り返していたとされる。今年初め、地域住民の通報を受けて検閲が実施され、摘発・拘束された。捜査はおよそ2カ月にわたり集中的に行われたとされる。

親族が事態の収拾を図ったものの、すでに調査が広範に及び、事案の重大性もあって介入は困難だったという。その結果、公開裁判の実施に至った。

裁判は区域内の裁判所で行われ、地元行政関係者らが出席する中、裁判長は被告が社会主義体制を否定し、外来の反動思想文化を流入・拡散させたと厳しく指摘した。判決では行為を「意図的、反復的、拡散的」と認定し、刑事訴訟法および反動思想文化排撃法に基づき、12年4カ月の教化刑(懲役刑に相当)を言い渡した。

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さらに当局は、被告の家族に対して連座制を適用し、平壌からの追放と、咸鏡南道北西部の長津郡への強制移住を命じたという。

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裁判では今回の処分が「見せしめ的措置」であることが強調され、会場は終始、重苦しい緊張感に包まれたと伝えられる。

たかだか外国の映像作品を視聴しただけで重罰を科すこと自体、重大な人権侵害だが、連座制はさらに邪悪なものだ。「巻き添えは避けたい」という意識が強まれば、人々は相互監視や密告に走りやすくなる。連座制はコミュニティーの信頼関係を破壊、分断して支配と統制を容易にするための手段として用いられているのだ。