韓国国家情報院(NIS)第1次長を務めた羅鍾一(ラ・ジョンイル)東国大学碩座教授(元駐日・駐英大使)は14日、英日刊紙テレグラフのインタビューで、北朝鮮の後継構図を巡り興味深い見方を示した。金正恩総書記の娘、金ジュエ氏が後継者となった場合、「野心家で無慈悲な叔母」金与正氏から、強力な牽制に直面する可能性が高いというのだ。

羅氏は、金与正氏が党・軍・治安機関にまたがる独自の影響力を築き上げてきた点に注目。対外宣伝や対韓威嚇の前面に立ち、実務と実権の双方を掌握してきた同氏は、単なる「補佐役」にとどまらない存在だと指摘した。権力の空白や移行期には、主導権を握ろうとする動きが一気に表面化する可能性があるという。

(参考記事:「妹じゃなきゃ処刑だ」金正恩と与正の微妙な権力均衡と”後継者ジュエ”登場の衝撃

一方、金正恩氏は近年、公式行事への同伴や記念写真でジュエ氏を「センター」に据え、後継演出を強めている。だが、若年で政治基盤を欠くジュエ氏にとって、最大の障害となるのが与正氏の存在だ。羅氏は、後見人を装いつつ実権を握る「摂政型支配」に転じる可能性も否定できないと分析する。

北朝鮮では、最高指導者の交代は常に血で血を洗う権力闘争を伴ってきた。叔母と姪という異例の構図が、体制内部の緊張を一層高めることになれば、国内統制の動揺や対外挑発の激化にもつながりかねない。「新女王」誕生の舞台裏で、静かな暗闘がすでに始まっている可能性がある。