北朝鮮の最高指導者・金正恩総書記が全国各地で繰り返す「現地指導」が、いまや単なる視察ではなく、恐怖政治の公開舞台と化している――。韓国・統一研究院のパク・ウンジュ研究委員が27日に公表した分析報告書は、金正恩流統治の危うい実像を浮き彫りにした。

報告書が注目したのは、近年の現地指導で目立つ異様な光景だ。

(参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

工場や農場、軍施設に集められた幹部たちの前で、金正恩は成果不足や計画未達を厳しく糾弾。ときに名指しで責任を追及し、その場で事実上の「有罪宣告」を下す。現地は激励の場ではなく、失敗者をあぶり出す現場裁判所になっているという。

典型的なのが今月19日、竜城機械連合企業所の増強工事竣工式で、楊勝虎(ヤン・スンホ)内閣副総理を解任した出来事だ。

パク氏は、こうした変化を「現場責任政治」と断じる。

政策の失敗を構造的問題ではなく、現場の怠慢や忠誠心不足に転嫁することで、最高指導者自身の責任を巧妙に回避する統治手法だ。同行する党中央、内閣、軍の幹部は、誰が上で誰が下かを見せつけられ、沈黙と服従を強いられる。

だが、その代償は小さくない。報告書は、幹部たちが「悪い情報」を上げなくなり、短期成果を誇張する虚偽報告が蔓延していると警告する。現場では無理な動員や数字合わせが常態化し、経済や軍事の実態はますます見えにくくなっているという。