北朝鮮で青少年犯罪が増加する中、黄海道で住民社会を震撼させる凶悪な性犯罪事件が発生し、当局が加害者の未成年3人に対し極端な処罰として即決処刑を下したと、韓国の独立系メディア・サンドタイムズ(ST)が23日付で報じた。STによれば、当局は「コッチェビ(浮浪児)及び青少年犯罪の完全掃討」を指示し、特別掃討組織を編成したという。

STによれば、事件は今夏、軍服務を終えて帰郷途上だった女性除隊軍人に対して発生した。女性はバスで黄海南道の苔灘(テタン)郡へ向かっていたが途中で車両が故障し、やむを得ず徒歩で移動していた。現地消息筋は「除隊軍人の女性は目立つ容貌で、周囲の注目を引いていた」と語った。

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その時、近くを通りかかった同地域の高校卒業班の男子学生3人が女性に接近し、人目のない場所へ連れ込み性犯罪に至ったうえ、「顔を見られた」として殺害したとされる。STによれば、3人は被害者の荷物を持ってバス停に戻り、平然とバスに乗車したが、そのバスは偶然にも被害女性が降りた車両であった。

運転手は、学生らが女性の荷物を持っていることを不審に思い、安全部(治安機関)にバスを乗り付けて通報。駆けつけた安全員により3人は逮捕された。取り調べで犯行を自白し、現場捜索の結果、被害者は遺体で発見された。STによれば、最後の瞬間、女性は「せめて両親の顔を一度でも見せてほしい」と懇願したが犯人らは聞き入れなかったという。

事件は即時に平壌へ報告され、STによれば、当局は3人が未成年であるにもかかわらず即決処刑を命令したとされる。

STはこの報道に添えて、デイリーNKの記事を引用している。デイリーNKは、黄海北道の党委員会が10日に緊急会議を開き、「コッチェビおよび青少年犯罪の完全掃討」を指示し、掃討隊を稼働させたと報じている。

デイリーNKによれば、沙里院市・鳳山郡・延灘郡では市場やバス停で高齢者や女性を突き倒して荷物を奪う事件が続発している。特に沙里院市では10代の学生が60代の男性を転倒させ、現金だけでなく靴まで奪って逃走する事件が発生した。

さらに、生活難などを理由に外地商人に同行し「雑用」を装いながら売春を試みる10代女性も増えているとされる。摘発された青少年は親とともに安全部へ連行され、一部の親は所属組織で公開批判に立たされているという。