李明博政府の対北政策の核心は、大統領選挙の公約に見出すことができるだろう。
いわゆる“非核開放3000”という大統領選挙の公約は、“北朝鮮が核を廃棄して改革開放をすれば、10年以内に3000ドルの所得を達成することができる大規模支援をする”という条件に要約することができる。ここで‘核廃棄’と‘改革開放’は全て満たされなければならないのか、それともどれか1つでも充足されれば充分なのかは、定かではない(この問題は非常に重要なので後でまた詳しく見たい)。
私たちは李明博政府の対北政策を、‘条件付き対北政策’と名付けることができるだろう。すなわち、‘ある条件が満たされれば(前件/antecedence)、ある計画が施行され得る(後件/consequent)’という条件文である。私たちが望ましいと思うことが、前件に置かれている。
一方、太陽政策は条件付き対北政策とは完全に反対と言える。すなわち、“北朝鮮を支援すれば(日差しをあたえれば)、北朝鮮は改革開放をする(服を脱ぐ)”というもので、条件文の後件に私たちの願う事態が置かれている。ここで金大中、盧武鉉政権は、北朝鮮が改革開放をしない場合に全く備えず、‘まず与えて後でもらう(先供後得)’という、イム・ドンウォン式詭弁が登場した。
結局親北朝鮮左派政権は、改革開放どころか北朝鮮から横っ面をはりとばされても、もう理念的に北朝鮮に‘オールイン’、すなわち痴情に陥ったため、引きずられて行くしかなかった。その結果、太陽政策は“北朝鮮が改革開放しなくても、北朝鮮にずっと支援をしなければならない”という条件文に変形した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面‘非核開放3000’の攻撃予想ポイント
李明博政府の対北政策がどのような結果を生むかについては、まだ断定することができない。だが、この政策の核心は、新政府が要求する条件を北朝鮮が受け入れるかどうかによるため、その可能性をよく見ることが決定的だ。
結論から言うと、北朝鮮は李明博政府が‘非核開放3000’以外に、他の可能性を開いておく限り、‘核の廃棄と改革開放’という先決条件を考慮することもないだろう。なぜならば、このように北朝鮮の運命と直結している根本条件に対しては、北朝鮮の過去10年間の言行をよく見れば、次の事実はほとんど不変だからだ:
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面1. 金正日は首領体制の維持を、‘先軍政治’を通じて‘強盛大国’を作ることから探ろうとしている。すなわち、軍事的脅威の手段を通じて、国際的に経済援助を強要するということだ。
2. したがって、北朝鮮の核兵器は二重の役割を果たしている: 一方で‘脅迫手段’であると同時に、‘交渉対象の姿’を備えていなければならない。しかし、“黄金のたまごを生むニワトリを食べてはいけないように”北朝鮮は核を完全に廃棄することはできない。
3. 北朝鮮の改革開放は、金正日が自ら認めたように首領体制の崩壊を必然的に持たらすため、首領体制が維持される限り決して起こらない。ただ、韓国から経済援助をもらい出すために適応しているだけだ。いわゆる‘蚊帳式開放’だ。開城工団、金剛山、開城、白頭山観光とも全て、辺境地帯にあり、北朝鮮の住民との接触を遮断する鉄条網を張っておいて、現金をもらう役割を果たすだけだ。にもかかわらず、北朝鮮は蚊帳式開放が真の開放につながるだろうという幻想を韓国国民が持つように、適切に誘導している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面上述の事実は、この10年間の北朝鮮の姿を最も適切に説明している。にもかかわらず、韓国を含めた西側の対北専門家や政治家、言論は、希望交じりの予測をあきらめていない。すなわち、未来に対するすべての経験的予測が持つ限界、“もしや…”を狙っているのだ。しかし、こうしたはかない希望は‘長官級南北会談の開催の可否’のような短期的予測には適用することができても、核廃棄や改革開放のような運命的決定に対しては、決して持ってはいけない。
したがって、李明博政府の‘非核開放3000’の核心は、実は他の所にある。すなわち、北朝鮮が核を完全に廃棄せずに、また改革開放をしなかった場合、どのように対処するかということだ。
この問題に対して、おそらくまだどのような明らかな対策も用意されているとは思えない。だが、太陽政策をまだ盲信する親北朝鮮左派の政治家と知識人たち、なによりも金正日政権は、まさにここに新政府の対北政策のアキレス腱があるという点を、あまりにもよく分かっている。なぜならば、弱みを攻撃することが定石だからだ。
既に始まった親北朝鮮左派の進軍の方向はおよそ次の3種類に要約できる:
4. 新政府は北朝鮮が決して受け入れることができない条件を出すことで、この10年間苦労してあげた南北交流のかっかくした成果を一挙に壊す。新政府の対北政策はこの条件に固執する限り、始めることもできないだろう。易地思之、すなわち相手の立場を考慮する‘内在的接近’の必要性を主張する。
5. 北朝鮮の核の廃棄は、経済援助や安全保障とかみ合う時、初めて可能だ。いわゆる善循環論である。
6. 盧武鉉政権が任期末に金正日政権と合意した事項を忠実に履行しない場合、北朝鮮にも核廃棄のような約束を守る理由がない。
この3種類の攻撃は、実はただ1つの目標を持っている。“北朝鮮が非核開放をしないとしても、北朝鮮にずっと支援をしなければならない”というもので、実は前で述べた変種の太陽政策の条件文、それ以上でも以下でもないのだ。
言い換えると、“ ‘非核開放3000’の前提条件が満たされなかった場合、人道レベル以外には北朝鮮に経済支援をしない”という明らかな原則が守られない限り、李明博政府の対北政策は太陽政策の二の舞をして、失敗するだろう。
すなわち、北の立場を考慮する内在的接近とは、本質的に‘首領体制の正当性’を認めるものであり、善循環論とは既に失敗した先供後得論に過ぎず、盧武鉉-金正日が在庫処理をするように拙速に合意した経済協力事項を守る場合、北朝鮮は核の廃棄も改革開放をする必要性も全く感じないだろう。(続く)