2008年の新年を迎えた。
新年は常に希望と共に出発するが、特に今年は北朝鮮問題に対する認識と政策で、多くの変化が予想されるという点で、期待が持たれる。昨年末の大統領選挙で、既存の金大中、盧武鉉政権の対北政策に批判的なハンナラ党が勝利をおさめた。この間、困難にもかかわらず、北朝鮮の劣悪な人権状況の改善のために努力してきた人権団体や脱北者、拉致被害者や国軍捕虜の家族など、多くの人々が大きな期待を持ち、新政府の政策に注目している。
10年以上にわたる北朝鮮の人権の民主化運動を振り返っても、本当に困難な道のりだった。北朝鮮の飢饉に触発された北朝鮮の人たちの大量脱出と、彼らを救援するためのNGOの努力があった。脱北者を通じて伝わる、極端な閉鎖体制の北朝鮮社会で行われている血なまぐさい人権蹂躪の実態を、国内はもちろん、全世界に知らせるために昼夜を分かたず走った。政治犯収容所の惨状に怒り、その解体のための闘いが続いた。
閉鎖された北朝鮮に少しでも情報を伝えるために、短波放送を送り出し、たった1冊の聖書を伝達するために多くの人が心を労し気を砕いた。拉致被害者と国軍捕虜の家族の訴えに耳を傾け、送還のための運動を展開した。全世界の良心と共に、北朝鮮の人権蹂躪を止めるために、北朝鮮政権に対する圧迫の手網を緩めなかった。
このすべてが、いわゆる人権運動と民主化運動という勲章を胸につけて執権した金大中、盧武鉉政権の下で、彼らの冷淡と無関心、ひいては排斥の中で行われた。はなはだしくは、国連総会での人権決議案でさえ、反対や棄権という裏切りがあった。ひいては、人権勢力を戦争勢力というとんでもない呼び方をすることにも躊躇しなかった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面こうした良心の麻痺と偽善の結果が、実は今回の大統領選挙の敗北の根源だと言っても過言ではない。彼らが根本的問題に対する深い省察に基づいて再び誕生することができたら、韓国社会の健全な競争と協力のパートナーとして新たに位置づけられるだろうが、そうでなければ歴史の高慢な波にさらわれて消えてしまう、刹那の水の泡にすぎなくなるだろう。
一方で、精神的、物質的なあらゆる困難にもかかわらず、苦難に陷った北朝鮮の同胞の声を知らないと言わず、脱北者や拉致被害者の家族など、この時代の最も困難な人々の手を握り、彼らの苦痛を減らせるほんの小さな力にでもなろうと努力した北朝鮮人権民主化運動こそ、政権交替の遠い源だったと自負する。
なぜならば、人間が本来持つ良心と、疎外された人々との連帯に基づいたこの運動が火種になり、大韓民国の自由民主主義の伝統性の毀損を憂慮し、これを守護しようとする運動と建国、産業化、民主化を越えた先進化という時代の要請を提起した新保守運動と結合し、韓国社会の大きな流れを変えたからだ。このような長い歴史的流れを読むことができなかったら、李明博政府も多くの困難に直面することは、火を見るよりもあきらかであると言える。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面政権交替はこれまでの10年のように、民間だけの力で運動を推進するのではなく、政府の一定の役割を期待できるという点で有利な条件が提供されていることは間違いない。ただ、ここには1つの重要な原則がある。政府の役割と民間の役割はやはり差があるため、政府に度が外れた期待を持つことも望ましいことではない。
李明博政府は北朝鮮問題だけにエネルギーを消耗することができる状況でもなく、国内にも山積した多くの課題があるからだ。また、北朝鮮の人権・民主化運動陣営が望むとおりに、金正日政権の終息と攻勢的改革開放の圧迫政策を公開して立て通す可能性も低いと思われるためだ。こうした点を認識することができなかったら、私たちもまた、過去の政権で半政府親与党化した左派の民間団体の二の舞を演じることになる。
金正日政権の改革開放政権での交替と、北朝鮮の人民の完全な解放という私たちの窮極的な目標は、依然として残っている。私たちは北朝鮮に民主主義の新しい日が来るまで、歩みを止めることができない。ただ、今後5年間は政府との善意の協力と役割分担を模索しながら、一方では批判と牽制という民間固有の役割を果たすことになるだろう。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面そうした点から、北朝鮮の人権と民主化の運動は新しい転機に入り、この10年の功績と過ちを評価して、これからの新しい課題を導き出さなければならない時がきた。
新年を迎えた今この瞬間にも、家族の送還を待つ拉致被害者や国軍捕虜の家族、人間殺戮の収容所で生存自体が希望である20万の収監者と、海外をさまよう10万の脱北者、2300万の北朝鮮の人民を思いながら、新しい覚悟と決意を固めている。