人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

脱北者のキム・グァンヒョク氏(27.夫)とコ・ジョンナム氏(29・妻)夫婦の北朝鮮再入国をめぐり、「自らの意志による再入国」「北朝鮮による懐柔と脅迫」などの推測が飛び交う。北朝鮮は8日、朝鮮中央TVを通してキム氏夫婦が自らの意志で再入国したと伝えた。

夫婦は2008年に脱北。翌年結婚し二歳の息子と大邱で暮らしていた。夫婦は息子も一緒に北へ戻った。夫婦はカトリック信者として知られており、妻のコ氏は準看護師の資格を取得するなど、韓国定住のために熱心だったという。

現在、韓国にはキム氏の弟と母親が生活しており、妻のコ氏は韓国入国後、大邱で生活中に現在の夫に出会ったとされる。

キム氏夫婦の生活を支援した大邱ハナセンター関係者は「キム氏夫婦が北朝鮮で記者会見をした事実に家族らもショックを受けている。理由がさっぱり分からず、とても残念がっている」と話した。

現時点ではキム氏の向こう見ずな性格と生活苦が原因で、妻子を連れ北に戻ったのではないかとの注意深い見解もある。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

キム氏のとある知人はデイリーNKに「キム氏は多少無鉄砲で軽率なところがあった。奥さんは生活のために努力していたが、キム氏はそうではなかった」と伝えた。妻のコ氏は準看護師の資格をとり看護学校への進学を目指していたが、これも夫の反対で諦めていたという。

夫キム氏のブローカーの経歴も北再入国の背景として挙げられる。中国で脱北を仲介する過程で北当局の監視網に引っかかり、脅迫が行われた可能性もある。

夫婦と今年初めまで付き合いがあったあるボランティアは「何度か電話をしたがつながらず、おかしいと思っていた。生活基盤がないにもかかわらず、旦那さんの虚栄心がすごかった。北に戻るとは予想外」と話した。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

このボランティアは夫婦の記者会見の写真を見て、直感的に妻コ氏の表情は不安めいていると話した。彼は「肉体的にも精神的にも大丈夫だろうか。心配で仕方ない。数ヶ月間は体制の宣伝に活用されるだろう。問題はその後」と心境をあらわにした。

韓国で生活していた脱北者が、自らの意志で戻ってきたケースを北朝鮮が報道するのは6月のパク・チョンスク氏(韓国ではパク・インスクとして生活)に続き二番目。複数の脱北者の証言によれば、パク氏は数年前から、北当局によって追放された息子に対する罪悪感に苦しんでいた。そして当局の懐柔と脅迫に逆らえず北へ戻った。

韓国政府当局もキム氏夫婦が北へ戻った経路に関して、あらゆる可能性を想定しているとされる。そのため、北朝鮮当局の懐柔と脅迫による強制的なものという可能性も排除できない。政府当局者は「韓国に家族を置いて行ったため、細部的な事項は関係部署に確認中。様々な状況がありうるため、全ての可能性を想定している」と慎重な立場を示した。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

脱北者関連の業務を担当する関係者のひとりは「直接聞いたわけではないが、複数のルートを通じ北朝鮮から懐柔と脅迫を受けている脱北者がいるらしい。個人的なことであるため、公式ルートを通して話すケースはほとんどなく正確な統計は出せないが、実際それで苦しんでいる脱北者がいる」と語った。

一部では、北朝鮮当局が保衛部、安全部、党機関などに、韓国内に定着した脱北者を誘引するための専門機関を設置したのではと提起されている。昨年韓国に入国した高位幹部出身の脱北者は「金正日が死ぬ前に脱北者問題で悩んでおり、問題解決をめぐり議論となっていた。国境警備隊の取締りを強化したのもその流れ。保衛部員が脱北者の電話番号を入手し、心配そうな口調で『北に残った家族が危険だ』と電話をかけ懐柔するケースが多い」と話した。