北朝鮮当局は最近、主に中国にいる海外派遣労働者を対象に、思想的な締め付けをつよめていると、デイリーNKの現地情報筋が伝えている。具体的には、「外来文化を打ち破ろう」と題した反復的な学習を通じて思想強化を促しているという。
「特に先月中旬頃から関連教養事業が集中的に進められているとされる。 北朝鮮が最近、改正憲法で韓国を敵対国家と規定し、国民の対南敵愾心を煽っているのと歩調を合わせ、海外派遣労働者に対しても反韓感情を鼓吹しているもようだ」(情報筋)
ここで思想締め付けの基準となるのは、2020年12月に制定された反動思想文化排撃法で、とくに韓流などの海外文化を流布した事実が発覚すれば、無期懲役や死刑もありうる。
こうした思想キャンペーンでもっとも危険な立場に追いやられるのは、北朝鮮レストランの女性従業員たちだ。
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人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面中国には、アパレル工場や水産物加工工場で働く北朝鮮の女性労働者が数多くいる。彼女らは監視の厳しい寄宿舎での集団生活を強いられており、外部の人々との接触はごく限られている。
それに対して北朝鮮レストランの従業員は接客業という職業柄、外部とのかかわりを遮断するのは不可能だ。近年では、帰国後に行われる「水抜き」という思想点検作業で「不合格」となって処刑されるのを恐れ、中国から韓国へ亡命する従業員らが相次いだ。
これは、決して彼女らの杞憂ではない。たとえば読売新聞は昨年12月23日付の報道で、北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋からの情報として、次のように伝えている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「北朝鮮が新型コロナウイルス対策で約3年7か月間封鎖していた中国との国境を8月に開放して以降、帰国した外国派遣労働者や留学生、在外公館員など6000人以上に対し、 金正恩朝鮮労働党総書記の指示で厳しい思想調査や検閲を実施したことがわかった。韓国映画・ドラマを日常的にみていたことがわかり、銃殺刑に処されたケースもあったという」
北朝鮮が、憲法にまで韓国を敵国として定める条項を盛り込んだのならば、こうした動きは今後もますます強まる可能性がある。
かつては北朝鮮の人々にとって憧れだった海外勤務も、今後は忌避の対象になっていくかもしれない。