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韓国政府筋の情報では、北朝鮮はウクライナ戦争への派兵に向け、すでにロシアへ1万1千人以上の兵員を送り込み、うち3千人以上がロシア西部の交戦地域付近に移動したと見られるという。

また韓国SBSの報道によると、派兵規模は最終的に4~5万人になる可能性も取りざたされている。

果たして、そんなに大量の派兵が可能だろうか。

北朝鮮当局は近年、兵力確保にかなり苦労している。背景にあるのは人口減少と兵力忌避の蔓延だ。そして後者の背景にはさらに、軍隊内の栄養失調と人権侵害がある。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

韓国国防研究院のタク・ソンハン責任研究員は、2019年4月30日発表の「北朝鮮経済レビュー」(韓国開発研究院)に寄せたレポート「北朝鮮軍の実際の兵力数推定と今後の展望」で、直近の北朝鮮の正規軍の兵力規模を104万8千人と推計した。

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その算出方法は、韓国統計庁が推計した北朝鮮の16歳の男性人口をベースに、韓国と同じ徴兵率70%を適用。さらにここから、準軍事組織と早期除隊者の数を除いたという。

この方法で北朝鮮の正規軍の兵力推移を分析すると、2001年には94万4千人であったものが、2006年に100万人台に乗り、2013年に110万5千人でピークに到達。その後は徐々に減少しているという。韓国国防省などは2008年以降、北朝鮮軍の兵力規模を120万人以上としているから、けっこうな乖離がある。

北朝鮮は全体主義国家であるから、独裁者たる金正恩総書記が軍事力強化を掲げれば、人口が減りゆく中でも若者をかき集められると考えるかもしれない。

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しかし、現実は必ずしもそうではない。

少子化が進む中、ほかのどの国とも同様に、親心にも影響が出る。ひとりしかいない我が子を守るため、有力者にワイロを積んだり健康診断を改ざんしたりと、あらゆる手を打つのだ。

親たちの最大の心配は「飢え」だが、それだけではない。とくに女性兵士の親たちは、性的虐待を懸念している。もっとも、この問題に関しては「男も女もない」とある事情通は言う。

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(参考記事:女性少尉を性上納でボロボロに…金正恩「赤い貴族」のやりたい放題

実際、2022年には韓国との軍事境界線沿いに駐屯している朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の第1軍団の指揮部直属の警備中隊の衛兵長室で、衛兵長として勤務していた第2小隊の小隊長が、政治指導員と歩哨長を拳銃で射殺する事件が発生した。政治指導員らによる性的虐待を恨んでの行動だった。

朝鮮人民軍では、男性の上官が女性の部下に、朝鮮労働党への入党、大学への進学で便宜を図るなどを甘言で誘いだし、性暴力を働く事例が後を絶たないが、同性間とて、状況は変わらないのだ。

こうした問題の蔓延を、親たちはかなりよく知っているという。

現状においても兵役に対する抵抗が強いのに、派兵された兵員から大量の死者が出ることになれば、北朝鮮国内でどのような事態が起きるか、わかったものではないのだ。