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北朝鮮では、9月26日から10月5日までの10日間、「朝鮮労働党創建記念文学創作戦闘」が行われた。朝鮮労働党宣伝扇動部と朝鮮作家同盟が主催し、各道の作家同盟のすべての作家に、作品を書いて提出するよう指示が下された。ところが、このコンクールは大失敗に終わった。中央はその怒りを各地の小説家や詩人になすりつけている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の大学生によると、今回の創作戦闘で、小説家は小説、エッセイストはエッセー、詩人には叙事詩と叙情詩を創作するように指示が出された。

もちろん、最重要テーマは金正恩総書記の「偉大性」だ。

ともすれば忘れられがちな最高指導者の「ありがたみ」を再認識させる作品が必要なのだ。特に、メロディーに乗せて歌にできる作品が最も推奨された。

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朝鮮労働党の両江道委員会は、期間中の10日間、小説家と詩人を作家同盟の事務所に集め、「缶詰」にして作品づくりに取り組ませた。

また、両江道の幹部によると、作家同盟は、優秀者に高級冷蔵庫やテレビ、パソコンなど豪華賞品を贈ると宣伝した。

宣伝扇動部の期待は非常に大きく、往年の叙情詩「わが祖国」、「母」、有名プロパガンダソングの「代を継ぎ忠誠を尽くします」などに匹敵する作品が発掘されると思っていたようだ。

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ところが、待てども待てども良い作品が出てこなかったため、締め切りを3日間延長した。それでも受賞者はひとりも出なかった。

「『朝鮮文学』や『千里馬』などの雑誌に適当に掲載する作品は多く現れたというが、1970年代、80年代に作られた記念碑的文学作品はひとつも出てこなかった」(幹部)

そればかりか、「缶詰」状態から逃げ出す者が現れる始末だった。それもそのはず、10月初旬は収穫期だからだ。

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「畑に植えた作物を収穫するために、夜に密かに事務所を抜け出す者も現れた」(大学生)

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小説家や詩人と言えども、創作活動だけで食べていけるのはごく一部で、ほとんどは貧困に苦しめられ、自前の畑を耕してなんとか生きている。

受賞者がいなかったことを深刻に受け止めた平壌の宣伝扇動部は、締め切り日の10月8日、朝鮮作家同盟に対して「公開闘争」を指示した。コンクールが振るわなかったから、吊し上げを行うと言うのだ。

「各道別に出版報道部門、宣伝扇動部門の幹部が集まった中で、作家を思想闘争舞台に立たせ、相次いで糾弾する大論争闘争が繰り広げられている」(幹部)

宣伝扇動部は、党に対する忠誠心が足りなかったから、創作戦闘が失敗したのだと小説家と詩人に責任をなすりつけ、見せしめにしているのである。

両江道作家同盟では、夜に事務所を抜け出して畑に向かった作家が激しい批判を浴びている。彼らは再び作家同盟の事務所に缶詰にされ、今度は批判書と反省文を書かされている。

(参考記事:北朝鮮の考える「文学不振」の的はずれな理由

情報筋は「両江道作家同盟の場合、創作闘争の現場をこっそり抜け出して家に帰ってきた作家たちが俎上に載った」とし、「彼らは作家同盟の事務所に閉じ込められて家族が持ってきてくれた下着に着替えながら、昼夜を問わず批判書と反省文を書いている」と説明しました。

情報筋は、「生活がかかっている秋の収穫の時期に創作戦闘をしたことで、彼らをさらに苦しめている」とし、「常に食べることの心配が頭から離れない小説家と詩人が、創作戦闘をしたところで、どんな作品が書けるのか」と中央のやり方を批判した。

(参考記事:金正恩、自分が作らせた映画を見た人々を逮捕…国民驚愕「何のために作ったんだ⁉」

たしかに近年、北朝鮮の文学界からはこれといった作品が出ていない。

映画まで範囲を広げると、朝鮮戦争の開戦初期に朝鮮人民軍(北朝鮮軍)がソウルを占領するまでの3日間を描いた「72時間」が大ヒットしたが、「米軍が北朝鮮に攻め入ってきた米軍を撃退し、返す刀でソウルを占領した」という北朝鮮の公式の「歴史」に、人々が疑問を持つようなストーリーだったため、上映禁止となってしまった。

創作を行おうにも、ハナから「金正恩神格化」がテーマで、自由な創作活動はできない。「働けど働けど楽にならざる暮らし」が2024年の北朝鮮を最もリアルに表すテーマになるだろうが、そんなものを書けば、断筆させられるだけでは済まないだろう。

米国の図書館員向け雑誌「ライブラリー・ジャーナル」が毎年発表する「ベストブックス」の2020年に選ばれた144冊のうちの1冊として、北朝鮮の作家・白南龍(ペク・ナムリョン)氏の小説「友」があるが、故金日成主席が健在だった1988年の作品だ。