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韓国の情報機関・国家情報院(国情院)の発表によれば、北朝鮮はロシアに加勢するためウクライナ派兵を決定し、すでに特殊部隊の1500人がロシア入りしているという。

派兵される人員は4個旅団、1万2千人規模とされており、その中核を占めると見られているのが特殊部隊・第11軍団、通称「暴風軍団」だ。

北朝鮮軍の中でも最精鋭とされる暴風軍団は、金正恩総書記もたびたび訓練を視察している。もっとも、いかに練度が高くとも、装備に劣り補給がおろそかになれば、実戦では役に立たないとの見方も多い。

実際、北朝鮮国民の間で暴風軍団の評判はかなり悪い。暴風軍団は2021年から、中朝国境の警備に派遣された。新型コロナウイルスの流入防止策として金正恩総書記が厳命した、国境封鎖を徹底するためだ。ところが、彼らは最高司令官の命令を守るどころか、それを積極的に破る者まで出現し、地域で様々なトラブルを起こしていた。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によれば、たとえば2021年12月17日、道内の会寧(フェリョン)に駐屯していた暴風軍団の警備班のメンバーが一斉に逮捕された。容疑は、ある家族が川を渡って脱北するのを幇助したというものだ。

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この日はちょうど、故金正日総書記の命日だった。重要な政治行事が行われるときは、国内に厳粛な空気が流れる一方で、国境の警備は手薄になる。それを狙ってブローカーと、家族3人が川を渡って中国に脱北した。手引きしたのは、暴風軍団の軍官(将校)と下戦士(二等兵)だった。

彼らは哨所(監視塔)や監視カメラの設置された区域を最大限避けて川を渡ったが、脱北ブローカーが北朝鮮に戻ってきた様子がカメラに写ってしまい、事件が発覚した。

脱北の動きを事前に察知できなかった暴風軍団の指揮部だが、軍官と下戦士が自らの担当区域でないところでウロウロしているのを不審に思い、彼らを逮捕して激しい拷問にかけて、自白を引き出したとのことだ。

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彼らは、今までも脱北ブローカーとグルになって、続けざまに住民の脱北に手を貸し、それで得たワイロで、結婚、進学の費用に加え、親戚の商売の元手まで稼いでいた。

それも、誰でも彼でも脱北させるのではなく、脱北した先の中国で捕まる可能性が低く問題になりにくい人だけを選び、脱北させる周到さを見せていた。

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特殊訓練で養われた隠密行動のスキルを総動員し、最高司令官(金正恩氏)の命令などそっちのけでカネ儲けにいそしんでいたわけだ。

しかしそれもこれも、そうしてカネを稼がなければ、生きていけない事情があるためだろう。彼らがそうした背景を持っていることは、ウクライナに派兵されようとも変わらない。果たして初の戦地で、北朝鮮の特殊部隊員たちはどんな「活躍」を見せるのだろうか。