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北朝鮮北部・咸鏡北道(ハムギョンプクト)の現地当局が、大雨による耕作地の浸水被害にもかかわらず今年の穀物生産計画を維持する方針を示し、農民らの不興を買っている。

デイリーNKの現地情報筋は29日、「咸鏡北道農村経理委員会は今月中旬、道内のすべての市・郡の農業経営委員会に対し、現在の農場の作況実態を正確に報告しろという指示を下した」とし、「今回の指示は日照りや洪水被害にもかかわらず、国家の穀物生産計画は変動なしに推進されることを強調したもの」だと伝えた。

農村経理委員会はまた、これが道の独自方針ではなく、内閣農業委員会で決められたものだという点に言及し、農業部門幹部らの引き締めを図っているという。

さらには、「軍糧米と国の米びつを満たすために農民が秋まで最善を尽くさなければならない」と督励した。

情報筋は「道は、今年は非常軍糧米まで使い果たしてしまうほど、国の米びつが空っぽになっており、これを満たすためにはベルトをもう一度締めなおさなければならない状況だと強調した」とし、「各農場では再び『苦難の行軍』をする覚悟を持て」とまで述べたという。

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「苦難の行軍」とは、1990年代の大飢饉のことで、一説に10万人単位の餓死者が出たとされる。

情報筋は「これを聞いた農場幹部たちたちは『今も十分に苦難の行軍なのに、そこにまた苦難の行軍を強調すれば、農場員たちは歯向かってくるだろうし、国家への非難を招く原因になるだろう』と憂慮している」という。

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農場幹部らはまた、「今、国中が水害で大騒ぎだが、農業部門も被害を受けている」「それなのに穀物生産計画は無条件に達成し、さらには超過達成する覚悟を示せというのだから話にならない」と不満を述べていると、情報筋は付け加えた。

なお、北朝鮮メディアは7月19日、党中央委員会第8期第10次全員会議決定貫徹のための内閣全員会議拡大会議が開催された事実を報道し、「参加者たちは農業生産力を増大させることに引き続き大きな力を入れることに対する党の意図に合わせ、当面の営農工程遂行に力量を集中し、災害性異常気候の影響を最小化することで今年の穀物生産目標を無条件に占領するだろう」と伝えている。