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北朝鮮からロシアに留学した若者が、本国からの帰国命令を拒否して韓国に亡命したと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。日本などでは、多くの学生にとって「夏休み」は楽しいものだが、北朝鮮の留学生にとってはそうではないようだ。

RFAによると、数年前に脱北して韓国に在住する平壌出身のキムさんは最近、韓国の街中で、北朝鮮で隣町に住んでいた友人とばったり出くわした。友人はキムさんに「ロシアで勉強していたが、本国からすべての留学生に帰国命令が出た。それで怖くなり脱北した」と打ち明けたという。

金正恩総書記がロシアや中国など海外にいる留学生全員に帰国を命じたのは7月はじめだった。夏休み期間中に、思想点検を行うためである。

かつてデイリーNKの取材に応じた別の脱北者によると、「当局は海外にいる留学生を平壌に集め、15〜20日間ほど、人民大学習堂や青年同盟の強要学習所で思想学習と思想検討を受けさせる」という。

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海外で資本主義に染まった考え方を徹底的に追及、除去することで、脱北を防ぎ、社会に悪影響を与えないようにするのが目的で、この作業は別名「水抜き」とも言われる。

一連の日程の中でもっとも重要なものは公開批判だ。

「思想的に問題がある」と見られた人物を壇上に立たせ、他の学生に徹底的に批判させるというものだ。つまりは「吊し上げ」である。その対象は、国家保衛省(秘密警察)が常日頃の監視の結果に基づき、あらかじめ選定する。こうなれば大学に戻れないのはもちろん、その後の出国も困難になる。ひどい場合には収容所に送られるかもしれず、人生は終わったも同然だ。

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こうした思想点検は以前、毎年のように行われていた。しかし、北朝鮮政府は新型コロナウイルス対策として2020年1月に国境を封鎖。留学生の帰国も許されず、結果的に海外での滞在が長期化した。

外国暮らしが長くなれば、海外文化から受ける影響も大きくなる。それを良く知っている北朝鮮当局は、留学生たちにいっそう強力な思想点検や監視を行うことになる。そして当の留学生たちは、本国の社会にうまく順応できず、秘密警察に「シッポ」をつかまれて収容所送りにされるのではないかと不安に陥るというわけだ。

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RFAによれば、ロシア国内にはほかにも、帰国命令に背いて潜伏中の北朝鮮留学生が複数いるという。今後、留学生らによる脱北が相次ぐ可能性がある。