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米政府系のラジオ・フリー・アジアは22日、北朝鮮の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領が蜜月の度を深める中、北朝鮮国内では「ロシアは社会主義を放棄し、資本主義を選択したために貧しくなった」という内容の思想教育が行われていると報じた。

RFAが平安北道(ピョンアンブクト)のある住民の話として伝えたところでは、現地では今月20日に「社会主義の赤旗を最後まで守ろう」という趣旨の政治講演が行われたと伝え、講演の一部とされる20秒弱の音声も公開している。

その内容は次のとおりだ。

「このように(ロシアの)軍隊が敵の心理謀略戦にはまったために、社会主義の運命が分かれ道に達したその時、反社会主義者を鎮圧せよとの国家非常事態委員会の命令執行さえ拒否し、ある部隊は反革命の側に寝返る妄動まで働いた」

音声を聞く限り、これは録音あるいは記録映画のナレーションだ。そして語られている内容はどうやら、1991年に旧ソ連で起きた「8月クーデター」のことのようだ。この事件は、旧ソ連で改革を進めたゴルバチョフ大統領を、国家非常事態委員会を称する保守派グループが軟禁して権力奪取を試みたものだが、市民やロシアのエリツィン大統領(当時)の抵抗で挫折した。

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つまり、講演の核心は「旧ソ連の崩壊と失墜」であって、現在のプーチン政権下のロシアについてではない可能性がある。

だが、たとえそうした内容であっても、金正恩氏とプーチン氏が親密さを深める中でこのような講演を誰かが勝手に組織すれば、最高指導者の権威を貶めたと見なされ重罰は免れない。もしかしたら死刑すらあり得る。

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それでもこうした講演が行われているのは、まず間違いなく金正恩氏が自ら指示した、あるいはお墨付きを与えたからだろう。その目的は、RFAが指摘するとおり、経済的な依存を深めるロシアに対し、北朝鮮国民が「過度なあこがれ」を抱くのを防ぐためと思われる。

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一方、講演を聞いた住民たちは「大きな衝撃を受けた」と、RFAの現地情報筋は伝えている。

「最近、わが国が中国よりロシアと近くなっていることを一般住民も感じている。労働新聞の紙面にもロシアのニュースが頻繁に掲載されていて、ロシアからの支援に対する住民の期待も大きい。ロシアから食糧と原油が大々的に支援されるということは住民の間でも既定事実として信じられている。それら切迫した問題を解決してくれるロシアをヤリ玉に挙げ、わざわざ住民を非難扇動するとは」

独裁国家においては、独裁者の権威が絶対のものとして守られねばならない。たとえ最も親密な友好国の指導者であっても、自分の国民が仰ぎ見る対象となることは許せないのだ。そのため金正恩氏は、プーチン氏と親しくなればなるほど、厄介な存在と見る分裂的な行動を見せる可能性がある。

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また、一部の住民からは「貧しい社会主義よりも裕福な資本主義を選択した方が百倍マシだ」「食糧もなく物乞いする立場にあるのに、社会主義がどうしたというのだ」などの冷淡な反応も見られたという。