北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)安全局(地方警察本部)が今月初めに開かれた朝鮮労働党道委員会に、上半期の麻薬犯罪件数が最高潮に達したと報告し、対策案を提出したという。なお、北朝鮮では覚せい剤を含む違法薬物を「麻薬」と総称している。
デイリーNKの現地情報筋は、「道安全局は今月初めにあった道党執行委員会に提出した報告書で、道内の麻薬犯罪が昨年より40%増加し、清津市だけで上半期の間に900件余りの麻薬犯罪が摘発されたとし、麻薬犯罪対策案を出した」と伝えた。
情報筋によると、道安全局は提出した報告書で、特に清津市での麻薬実態を主要に扱った。 清津市ではトンジュ(金主=新興富裕層)はもちろん、専業主婦、青少年までも麻薬に手を出していると明らかにした。
また、民家で薬物を製造したり販売したりする行為が蔓延し、このような現象がいつにも増して目立っており、密かに作った薬物を中国に密輸して摘発されるなど多様な犯罪が発生していると報告した。
道安全局のこのような報告を受けた道党執行委員会は、犯罪の形態と手法がますます巧妙になり、密造・密売・密輸行為も日増しに増えていると指摘し、「腐った麻薬現象は敵の反動思想に冒され、わが社会を腐敗させ革命意識を麻痺させようとする者たちの仕業」と批判した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面それとともに道党執行委員会は、7~8月を麻薬犯罪集中取り締まり期間と定め、中国に密輸する行為も重大犯罪と見なし、死刑を含む厳罰化で強力に処罰することを決めた。
北朝鮮刑法第237条(麻薬密輸、取引罪)は、▲麻薬を密輸、取引した者は5年以下の労働教化刑に▲大量の麻薬を密輸、取引した場合には5年以上10年以下の労働教化刑に▲特に大量の麻薬を密輸、取引した場合には10年以上の労働教化刑に▲極めて大量の麻薬を密輸、取引した場合には無期労働教化刑または死刑および財産没収刑に処すると規定している。
刑法は密輸・取引した麻薬の量により量刑に差をつけているが、道党執行委員会は最近、道内で薬物密輸行為が急増したことを受けて、相対的に少ない量の密輸に対しても最大で死刑に処すことを指示したと見られる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面情報筋は「道安全局は麻薬犯罪急増に対する対策として、住民たちに麻薬犯罪に対する情報を提供し、麻薬に対する警戒心を鼓吹する多様な教育活動を展開する計画」であるとし、「特別に青少年たちを対象にした教育を強化し、彼らが麻薬の誘惑から抜け出せるよう支援すると明らかにした」と伝えた。
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一方、安全局は麻薬犯罪と関連した住民通報体系を強化する対策も掲げた。情報筋は「住民の積極的な通報を促し、麻薬犯罪を根絶して健全な社会にするための努力を続けるというのが道安全局が掲げた目標」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面一方、道内の安全機関が一斉に麻薬撲滅に動き出すと、住民たちは「お手本(見せしめ)にされないようにしよう」として、委縮している様子だと情報筋は伝えた。