北朝鮮の金正恩総書記は13日、新型の戦車を動員した訓練を視察した。米韓の合同軍事演習をけん制する目的があるとみられる。
金正恩氏は「驚くべき戦闘的性能を誇示しながら姿を現した新型主力戦車が極めて優れた打撃力と機動力を立派に見せたことにも満足を禁じえず、わが軍隊が世界で一番威力ある戦車を装備するようになるのは大きく自負するに値することである」と述べた。
金正恩氏は、自ら新型主力戦車に乗って「操縦桿をしっかり握りしめて直接戦車を運転しながらわが軍隊の戦車兵たちの天をつくような戦闘的士気と気勢を一層高揚させ、確たる対敵観、戦争観を深く刻み付けさせた」という。
ところが、これに対して米国の専門家がさっそく、極めてあっさりと弱点を指摘してしまった。北朝鮮製の砲弾やミサイルの低性能ぶりはウクライナで顕在化しているが、専門家が指摘したのはそれ以前の問題と言える。
ケン·ゴス米海軍分析センター局長は14日、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の電話取材に対して、北朝鮮の戦車の最大の弱点は「燃料」だと指摘した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「戦車は燃料があってこそ、どこへでも行くことができる。北朝鮮の戦車が直面する最大の問題は、遠くに移動するための燃料を確保することだ」
そのうえで、「北朝鮮には燃料が十分ではないはずですので、戦車はあまり動かず防御的な役目だけをできるだろう」と付け加えている。
(参考記事:【目撃談】北朝鮮ミサイル工場「1000人死亡」爆発事故の阿鼻叫喚)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面さらに筆者の目線で付言するなら、北朝鮮は生産力にも限界がある。新型の戦車を開発しても、果たしてどれだけの台数を揃えることができるのか。
北朝鮮はロシアとの関係をますます深めており、あるいは燃料の調達環境も改善されるかもしれない。しかし、国家経済全般でエネルギーが不足している現状を踏まえれば、たとえロシアから燃料供給が増大したとしても、韓国軍の巨大な陸軍力に対抗できるようになるかはわからない。
いずれにしても北朝鮮は今後、戦車などの機甲戦力よりはミサイル類をより強化し、核に依存した戦力整備にいっそう傾斜していくのではないだろうか。