これまで米国の対アジア政策において対北朝鮮政策が大きな比重を占めることはなかったが、金正日の死亡で朝鮮半島情勢が変化し、介入する余地が高まると予想される。
韓国経済研究院のイ・チュングン外交安保研究室長は3日のデイリーNKとの通話で、「米国の対アジア戦略は積極的に変わった。クリントン長官は『21世紀の政治はアジアで決まり、米国はその中心にいるだろう』と述べたことがある。(米国の対アジア戦略は)中国を取り囲むという戦略だ。このような次元で北朝鮮は米国の重要な戦略的資産」だと説明した。
世界的な覇権国家として浮上している中国を効率的に牽制するため、北朝鮮を戦略的に活用するだろうという指摘だ。イ室長はこれに対し「米国は北朝鮮を『話をしっかり聞く』国家にしようと努力するだろう」と主張した。
また「北朝鮮は米国の戦略的脅威ではない。米国の戦略的脅威は中国である。中国の脅威を弱めることのできる要素がまさに北朝鮮だ」と強調した。米国が北朝鮮を親米国家に変化させてこそ、対アジア戦略の有利な高地を占領することができるという説明だ。
続いて「米国がミャンマー・フィリピン・インドネシア・ベトナム等との外交に力を入れているのも同様で、中国を包囲しようという戦略。米国の対アジア戦略は北朝鮮の『レジームチェンジ(regime change)』で完成するだろう」と述べた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面イ室長は、米国の外交(大)戦略は「中国の牽制」と「テロ勢力との戦い」であるとし、もし米国が「北朝鮮」という問題を解決するならば「一石二鳥」の効果を得られるだろうと述べた。
米国が北朝鮮問題を解決することになれば、中国を牽制する効果を得られると同時にテロ勢力にも打撃を与えられるという計算だ。
一方、イ室長は現在の北朝鮮の状況を「不安定だ」と診断した。そのため、登場したばかりの金正恩体制が米国を刺激する「愚かな」政策を繰り広げることはないと予想した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、「1994年に金日成が死亡した際の金正日の権力と金正恩の現在の権力は比較不可能なほどの差がある。金正恩が最高司令官の座に上がったのにもかかわらず、軍の階級は大将に過ぎない」と述べた。
更に、「北朝鮮当局自身も20代の青年に『元帥』という階級を授与することはできないという自家撞着の状況に陥ったということだ。金正恩体制が安着する可能性は低いと思われる」と付け加えた。