郡党学校とは、朝鮮労働党○○郡委員会、略して郡党の幹部を養成する教育機関だ。平安南道(ピョンアンナムド)には15の郡があるが、そのいずれにも設置されている。道内の6つの市に設置されているのは「市党学校」、その上には朝鮮労働党平安南道委員会に所属する「道党学校」がある。
その頂点に立つのは朝鮮労働党中央幹部学校だ。元々は、金日成高級党学校という名称だったが、2020年に、ポストや入学資格をカネで売買していたという大スキャンダルが発覚。高位幹部を含む数百人が逮捕され、一部が処刑された。組織としても一度解散させられた上で、中央幹部学校として復活した。
(参考記事:逮捕・処刑数百人…北朝鮮「幹部養成校」で起きていたこと)一方、平安南道内のある郡党学校では最近、あるスキャンダルが発覚した。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
郡党学校は、生徒に食べさせる野菜を栽培するための畑「副業地」を所有しているが、その管理を、地元農場の朝鮮労働党の細胞書記(末端組織のトップ)に任せた。除隊軍官(軍を退職した将校)の彼は「イケメン」で知られ、トーク力もあり、郡党学校の幹部の懐にぐいぐい食い込んでいって副業地管理の仕事を得た。
郡党の幹部のお眼鏡にもかない、今年からはワンランク上の道党学校への推薦書ももらい、今年から通えるようになったという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ところが今年2月末、新しく赴任した副業地の管理人に仕事の引き継ぎを行う際に問題が発生した。台帳に記された面積と、実際の耕地面積が合わないのだ。問い詰めたところ、このイケメン管理人が、近隣の農民に無断で土地を貸していたことが判明した。ここで取れたコメの一部は、管理人の懐に入っていた。
(参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた)
この件は郡党を通じて道党に報告された。結局、イケメン管理人は道党学校から退学処分を受け、彼と農民は、安全部(警察署)に逮捕されてしまった。まだ、いかなる処分が下されるかは決まっていない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面副業地がらみの不正やトラブルが頻発することを受け、道党は、道内のすべての機関、企業所に対し、「この手の事件が非常に多い、副業地の管理実態を詳しく調査せよ」との指示を下した。各地の副業地の管理人は、同じことにならないか、内心震えているとのことだ。
まともな給料がもらえないから、不正行為でカネを稼ぐという流れは当たり前のように起きている。給料を払おうにも国に予算がなく、生産がストップし、有名無実化した企業も少なくない。これらの企業も様々な不正行為で予算を確保している。法を守って生きていくのが難しいのが北朝鮮という国なのだ。