37年間北朝鮮を独裁した金正日が17日に病死し、北朝鮮は金氏一族3番目の独裁者の金正恩の管理下に置かれた。
朝鮮中央TVなどの北メディアは19日正午に重大放送を通じて、金正日死亡を伝えながら「我々の革命陣頭には、主体革命偉業の偉大な継承者であられ、我が党と軍と人民の卓越した指導者であられる金正恩同志様が立っておられる」と主張した。
続いて「我々は金正恩同志の指導に従って悲しみを力と勇気に変えて、今日の難局を乗り越える主体革命の偉大な新しい勝利に向けさらに逞しく戦わなければならない」と強調した。
北メディアが金正恩を「指導者」と表現したのは今回が初めだ。金正日の死亡による権力の空白を防止する目的だと思われる。
中国式の集団指導体制の経験がない北朝鮮にとって、最高指導者の権威は絶対的である。したがって、まだ若い金正恩が果たして金正日の絶対権力の座を安定的に継承することができるかに関心が集められている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面キム・ヨンファン北朝鮮民主化ネットワーク研究委員は「金正日は自分の死後の準備を十分に行い、2重3重の安全装置を設置している。即座に北朝鮮体制の本質が変わることはないだろう」と見通した。長期に渡って1人独裁体制を強固に維持した北朝鮮は、金正日の死亡だけで体制に亀裂が発生する可能性は少ないという指摘。
「金正恩が長期的に権力を維持する可能性は10〜20%に過ぎない。後継者として公式的に指名されてから3年程がたったが、内部的にはこれよりも少し長い期間後継授業を受け、ある程度の政治的基盤はあると思う」と予想した。
続いて、金正恩に対抗する政敵がないという点を挙げ、短期的な不安要素は大きくないと予想した。張成沢(チャン・ソンテク)、呉克烈(オ・グニョル)、金正男(金正日の長男)らは、金正日の監視下で力を育てる事が出来なかった為、金正恩に挑戦する力がないという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面金慶喜(キム・ギョンヒ)、キム・オク、金正哲(キム・ジョンチョル)が金正恩のライバルとして浮上する可能性も低いと考えられる。彼らは権力者になるという政治的な野心が明確に見当たらず、権力の形成に役立つ軍部や公安機関の核心幹部との人間関係も薄いと伝えられている。
しかし、北朝鮮の内部問題を分野別にみると、金正恩の前途は多難である。
この10年間で金正日に対する民心は底をついており、金正恩も七光りは期待し難いと思われる。北朝鮮内部での最高指導者の死に対する態度からして以前とは違うという情報もある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面19日、新義州の消息筋は、デイリーNKとの通話で「今回は首領様(金日成)の時とは全く雰囲気が違う。あの時は死去のニュースを聞いた人日とは、皆その場にしゃがみ込んで地面を叩きながら号泣したが、今日は皆が周りの空気を読んでいる感じだ」と伝えた。
また「幾つかの家庭ではすすり泣く声が聞こえたりするが、国が市場を閉鎖し流動人口を制御しているせいで、商売に対する不満が高まっている。『米をどこで買えばいのか』と嘆く人も少なくないない」と述べた。
咸鏡北道の消息筋はデイリーNKとの通話で「誰もが息を殺している。先頭に立って泣く人もいない。嬉しいと笑う人もいない。みんな何が起きるかを不安に感じ、上部の指示だけを待っている」と現地の雰囲気を伝えた。
一部では、金正恩が2012年の強盛大国入り宣言を留保する可能性も予想している。
匿名を要求した国策研究機関の研究員は「最高権力者の死を封建時代の国喪のように受け入れる北朝鮮で、強盛大国の祝砲は似合わない。金正恩としては国喪を理由に、強盛大国の負担を軽減する機会になるだろう」と展望した。
平壌10万戸住宅建設などの強盛大国の宣伝用事業が遅れている状況で、無理をする必要がないからである。現在の北朝鮮は通貨価値沫獅ノよって、市場のコメ価格と為替レートが過去最高値を記録している。
これにより、来年1月1日に発表される新年共同社説で、強盛大国と関連した内容を抜いて、金正日の「遺訓」の貫徹を集中的に強調する可能性もある。金正恩が自ら自身の誕生日の行事を縮小・廃止することで、幹部や住民に金正日の遺訓の貫徹という新たな政治スローガンを提示する効果を狙う可能性がある。
しかし、金正日の遺言というのは形式上の「先軍政治」しかなく、その内容は反資本主義、反市場主義に帰結しているだけで、一般住民からどれ程の反応を得られるからは未知数である。
南北関係と対外関係でも越えなければならない山が多い。中国は金正恩体制の暗黙的な支持を示しているが、ウラン濃縮計画の問題などの北朝鮮の戦略的目標に対して前向きな態度を要求する可能性もある。金正日が核実験や長距離ロケット発射などで中国を困らせた前例を考慮して、序盤から金正恩を締め付ける圧迫戦術を使用する可能性もある。
米韓が対北協調原則に基づいて金正恩政権に沿った対北戦略の修正に突入する場合、金正日が生前に要求していた6カ国協議の再開や大規模な経済支援なども、当分は期待し難くなると見られる。