「やっぱり、もうダメだ」金正恩発言に北朝鮮国民も絶望

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北朝鮮で先月26日から今月1日にかけて開催された朝鮮労働党中央委員会第8期第7回総会拡大会議。その場では食糧の増産についての議論に力点が置かれた。

国営の朝鮮中央通信は、金正恩総書記が、「社会主義建設の全面的発展のために、わが国家の自存と人民の福利のために今年の穀物生産目標を必ず達成し、農業発展の展望目標を成功裏に達成しよう」と述べたと報じている。

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北朝鮮は現在、大量の餓死者を出した1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」以降最悪の食糧難となっていると伝えられている。今回の会議は、この食糧難への対策を議論する目的で開かれたようだが、北朝鮮国民の反応は芳しくない。

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「住民たちは金正恩の発言や政策にに対し、『やっぱり、もうダメだ』との失望を隠せずにいる」と伝えた咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋。その理由とは次のようなものだ。

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「4日間も会議をやったのに、これといった特別な対策が示されなかったから」

国営メディアは今回の会議について報道し、各地域では住民を対象に、会議の結果を貫徹しようという内容の政治講演会まで開かれたが、人々は「ヘクタールあたりの収穫量を増やすべき」「新しい機械を農村に送るべき」という内容が実情に合っていないとの反応を示した。

深刻な食糧難の原因の一つが、極端なゼロコロナ政策として、2020年1月に国境を封鎖し、人と物の行き来を完全に遮断したことにある。国内生産分だけでは需要を満たせない食糧、肥料などの営農資材は中国から輸入されていたが、これらの輸入が止まったことが食糧難の原因だと多くの北朝鮮国民は気づいている。

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それで、「肥料の問題一つ解決できないくせして、収穫量を増やせと言われても、住民は冷淡な反応を示すしかない」(情報筋)ということだ。

ある咸興(ハムン)市民はこのように語っている。

「今回の拡大会議の内容を見ると、住民が直面している貧困が、あたかも農業のやり方が間違っていたかのように言っている。農業がうまく行ってトウモロコシ飯でも腹一杯食べられたことがあったろうか」
「食糧不足でギリギリの生活をしている人々に『ヘクタールあたりの収穫量を増やせ』などとなぜ(平気で)言えるのか疑問がわく。食糧不足を訴える人々の訴えを無視して、(当局は)農業の準備を大義名分にして、プロパガンダに没頭している」

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また、別の咸興市民は「農業機械を増やすという方針はいいが、機械を動かす人々の生活を解決するのがまず先ではないか。飢えている人たちがまともに仕事ができるのか」と、プロパガンダ色の強い派手な政策にこだわる当局のやり方を批判した。

北朝鮮では例年、前年の収穫の蓄えが底をつき、麦の収穫が始まる初夏まで、人々が上に苦しむが、ここ数年、その始まりが早まりつつある。情報筋も、本格的なポリッコゲ(春窮期)を控えた今の時点から、すでに絶糧世帯(食糧が底をついた世帯)が急増し、餓死者も出ており、住民の間に不安感が広がっているとして、「やってる感」を出すだけの当局の農業政策を批判した。

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