国連総会本会議は15日、北朝鮮の組織的かつ広範な人権侵害を非難する決議案を、投票なしのコンセンサス方式(議場の総意)で採択した。欧州連合(EU)加盟国が主導し、対北融和を掲げた文在寅前政権時代に距離を置いていた韓国も、4年ぶりに共同提案国に加わった。同種の決議採択は2005年から18年連続。
決議は◇拷問、恣意(しい)的な拘禁、性暴力◇政治犯の収容所◇強制失踪◇移動の自由の制限◇北朝鮮に送還された脱北者の処遇◇宗教・表現・集会の自由の制約――などを列挙し、北朝鮮の組織的かつ広範な人権侵害を「最も強い言葉で糾弾する」とした。
文言は概ね既存の決議文書を踏襲しているが、新型コロナウイルスの感染状況を巡り、人道的な国際機関の北朝鮮へのアクセスを認めるよう促す内容も盛り込んだ。また、女性差別とドメスティックバイオレンス(DV)の深刻化についても指摘した。
また外国人に対する拷問、即決処刑、恣意的な拘禁、拉致などへの懸念を示した部分で、新たに「遺族と関係機関に全ての関連情報を公開するよう北朝鮮に求める」と言及した。2020年に黄海上で韓国人男性公務員が北朝鮮軍に射殺された事件を巡り、韓国政府と遺族の要求を反映したものと見られる。
さらに「北朝鮮に送還される北朝鮮住民が強制失踪、恣意的な処刑、拷問、不当な待遇の対象になってはならない」とも指摘。韓国お前政権が2019年、脱北し韓国への亡命を求めた北朝鮮の漁民を強制送還した事件と関連するものと思われる。
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