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国家の経済的困難の深まりとともに、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍紀は乱れ、兵士に対する様々な虐待が横行している。

その中には上官の部下に対する性的虐待も含まれるが、それは異性間で起きるものにとどまらない。

4月には軍事境界線沿いに駐屯している第1軍団の指揮部直属の警備中隊の衛兵長室で、衛兵長として勤務していた第2小隊のチェ小隊長が、政治指導員と歩哨長を拳銃で射殺する事件が発生した。2人からの性的虐待を恨んでのことだったとされる。

それに続き7月初旬には、航空・反航空軍(空軍・防空軍)の司令部直属の区分隊で男性兵士が死亡する事件が起きた。軍官学校(士官学校)入学の推薦を受けた、将来有望な兵士だった。

デイリーNKの朝鮮人民軍内部の情報筋によると、事件のあらましは次のようなものだ。

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軍の電信電話所で勤務していた20代のリさんが7月10日の夜、変わり果てた姿となって、交代勤務者により発見された。

事件後の調査で、彼は「養成指導員が検査室に同行して行われた梅毒検査は、生まれて初めての辱めと苦痛で、もはや軍での勤務はできなくなった」という内容の、遺書のようなメモを残していたことがわかった。

養成指導員とは、幹部の人事を司る幹部部の養成課の人員のことだが、空軍司令部付の保衛部(秘密警察)は、指導員と空軍病院の軍医を呼んで取り調べを行った。

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その結果、2人は梅毒検査と称して、リさんを丸裸にした状態で、立たせたり座らせたりを繰り返し、その様子を見てケタケタ笑うという性的虐待を加えていたことが判明した。

保衛部は2人に余罪があると見て、検査を受けた男女兵士を個別に呼んで聴取を行ったところ、他にも同様のハラスメントを受けた者が複数いることが判明した。

2人は、軍機紊乱容疑で軍検察所に身柄を拘束され、予審(起訴前の追加取り調べ)を受けている。

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(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

軍内部からは「(被害者が)何も言わないだけで、こんなことをしている養成課のイルクン(幹部)や軍医は少なくないだろう」との声が出ているという。

金正恩総書記は、ことあるごとに軍事力を誇示するが、いくら核戦力を強化しようとも、規律の乱れ切った軍隊が、いざというときに国家を危機から救えるとは思えない。むしろ、その逆の方があり得そうな話だ。