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氏名: パク・ヨンファ
年齢: 74歳
国籍: 中国朝鮮族、脱北者支援宗教人
居住地: 中国 集安市

中国の集安市に住む朝鮮族のパク・ヨンファ(女・74)さんに会った。彼女は若い頃中学校の教員をしていた。最近北朝鮮を訪問した経験があり、遼寧省集安市で北朝鮮から来た親戚訪問者などに宿所紹介などをしながら彼らを助けている。

-ここに親戚訪問をしに来る北朝鮮住民は多いですか?

-そうだ。沢山いる。みんなお金がないから旅館に行くのも大変だし、短期間でも職場を探さなければいけないから私を訪ねてくる。助けを求めに来る。

-北朝鮮の住民がここに来たら、戻りたい気持ちが消えてしまう気がするのですが。

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-ここに来るほとんどの人が帰りたがらない。家族のことを考えて否応なしに帰るだけだ。お金を稼ぐために期限を過ぎる場合もある。連絡なしに帰国しないままでいると特務(北朝鮮の逮捕組)が捕まえに来るので、気を付けなければいけない。それでも、少しでも多く稼ぐためには帰れない場合もある。結局帰ってから調査を受けて、教化(収監)や(労働)鍛錬を一定期間受けなければいけない。

-ここに来る人の北朝鮮での状況はどうなのですか?

-職場がうまくいってないところが多いから配給ももらえない。主婦は市場で稼いでくる。それでも食べ物が足りないから生活が苦しい。家で子供達が泣いたりすると、かっとなって自分の家族を殺してしまう人もいる。北朝鮮の男は気性が激しい。

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-直接目撃した人の証言を聞いたことはありますか?

-当然だ。今年の2月だったと思うが、家族を殺した男の家を私の弟が直接見たそうだ。私の弟は華僑だが北朝鮮に住んでいる。弟が来てその話をした。(険しい表情で)刃物で自分の家族をみんな殺して、自分は首を吊って死んだ。北朝鮮で心中した家族がどれだけ多いか知らない。慈江道の満浦市は外部とある程度通じている場所にもかかわらずこうだ。

-北朝鮮から来る親戚訪問者や就業者に女性が多い理由は何ですか?

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-朝鮮では男性をあまり(外部に)送らない。男性が来て思想が変化したら外部社会に感化されるから。そういうことに関しては女性よりも早いだろう。家族が多い女性は、パスポートすぐに発行する。若い人達もあまり送らない。若い人達は外部世界に早く適応するから。50歳を超えた人達をよく送る。私も一緒に商売をしようと思って若い人達を探しているが、若い人達がいない。若い人達と仕事をすれば色んなことを出来るのに、朝鮮が若い子達を送らないから仕方がない。女性達は若くても45歳だ。親戚訪問も同じだ。若い人達が行ったり来たりすればあっち(北朝鮮)も変わるだろうに。

-最近の北朝鮮住民の心理状態はどうですか?

-貨幣改革以降、朝鮮の人達の心が廃れてしまった。人情が薄い。悪しか残っていない。元気があって笑顔があるのは幹部達だけだ。北朝鮮では老人が一番可哀相だ。だから自殺する人も多い。子供達は食べて生きるのに忙しい。だから外に出て自分が食べるものを探さなきゃいけない。子供達が親に向かって出て行けと言うこともある。みんなひもじいのにどうしろと言うんだ。親に暴力を振るう親不孝者もいる。老人が可哀相だ。どこかに行って口に出すことも出来ないで。

-中国に初めて来た北朝鮮の住民達はどんな反応を見せますか?

-初めて来た人は、まず自由が何かを感じることになる。まったく…自由というのがどんなものなのかを知るようになる。でもここに来ると、何が何だかわからなくて怖いのか、病人のようになってしまう。人々が自由に川辺で体を鍛えたり、ジョギングをしたり、體ェを食べている姿を見て、頭のおかしい人のようになってしまう。ここに来て1ヶ月くらいすると少しはマシになる。(北朝鮮と)違うことがあまりにも多すぎて、動揺してどうすればいいかわからないようだ。自分達が夢を見ているようだと言う。どうすればこうなることができるんだと言う。

-中国に来た北朝鮮の人達は、お互いに助け合って協力しあおうとします?

-朝鮮人達は互いに会いたがらない。お互いを信じることが出来ない。

-北朝鮮の人達の意識が大きく変わったと聞きますが。

-以前は朝鮮人と会話をするのが大変だった。以前は金日成を敬っていたので、宗教もダメだった。でも苦難の行軍、貨幣改革、この2つを経て人々がガラっと変わった。いつも(北朝鮮当局から)地上の楽園と言われているのに人が死んでいくから、気が狂うんだろう。ここに来て、(北朝鮮が)(地上の楽園とは)天地の差だということ、(地上の楽園が)嘘だということに気付く。北朝鮮はどうしてこうなんだと言いながら「バカのように生きてきた」と話す。

-北朝鮮のインテリ達は主にどんなことを言っていますか?

-どこかの大学の教授に1度会ったことがある。知識人達は朝鮮が封建世襲制度だということを知っている。封建制度や世襲制度と言っている。当然先が見えないと言う。今も見えないんだから。勉強をした人の90%が体制の問題点を感じている。世襲制度が社会主義なのか、と言っていた。

-インテリ達は金正恩についてどう言っていますか?

-金大将が後継者として指名される前に幹部出身者らは、表には出さないが、話の途中に「そうしなければならないのか」と言っていた。口では青年大将に仕える栄光云々しているが、プライベートな席では大変だと言っていた。インテリ達は若いやつに何が出来ると不信する程だし、はなたらしが何をしようというんだと言っている。信用していない。歳が若すぎる、経験が浅すぎるという問題をよく提起している。金正日がいなくなれば問題が起こって変わるだろうと言う人もいた。金正恩が開放をすることはありえない。父親が歩いた道をついて行くだけで、絶対に他の考えは出来ないだろうと言う。

-貨幣改革後の民心に何か変化はありますか?

-貨幣改革直後は本当に強盛大国が来ると思ったと言っていた。3日間は地上の楽園だったと。国定価格が初日に25ウォンまで引き下がったから。共産主義を3日間経験したと言う。3日後から価格が上がって、共産主義からまた封建主義に戻った。

-住民達は強盛大国を信じていますか?

-信じていないだろう。いつも騙されたと思っているから信じない。強盛大国にも過程がなきゃいけないのに、今までやってきたことを見返すと今後の事が見えるものだが、電気も通っていないし水も出ない、どんどん生活が苦しくなるのに誰が強盛大国を信じるだろう?

-金正日が中国を訪問した理由は何だと思いますか?

-食べるものがない。強盛大国だろうがなんだろうが食べるものがないからそうしたようだ。お米が1キロ1750ウォンだ。1ヶ月の労賃が2000ウォンだから意味がない。配給がないからそうなる。

-北朝鮮に行かれた時、人々の身なりはどうでしたか?

-何がないんだ。みんな大変だ。でも不思議なことに通りを歩いている人が本当に多い。ここ集安よりも多いと思う。みんな工場で任務を遂行しているはずなのに、この人達はどこから出てくるんだろう。朝から晩まで、どこに行くのか知らないが、行ったり来たりしている。せかせかとどこに行くのだろう、本当にわからない。みんな生活のために歩き回っているのだろう。食べ物を買いに出て、どうやってでも生きようとしているのだろう。

-北朝鮮のインテリ達は核兵器についてどう思っていますか?

-口では誇りを持っていると言うが、そこから食べ物は出てこないから。よくは見ていない。誇りを持っている人もいるだろう。

-北朝鮮のここが変わった、と思うことはありますか?

-ここと江の向こうの朝鮮を見てごらん。ここは大きく変わった。でもあっちは数十年間そのままだ。若い子達が中国製の帽子をかぶっているのを見て、少し発展していると考えたことはある。若い人達が電子製品を使うことはある。

-軍人達の住民に対する態度がとても権威的だと聞きましたが?

-軍人達が人を接する態度は、罵りと指示がすべてだ。相手を尊重する気持ちがない。礼儀が消え去ってしまった。お年寄りに向かって「このあま!」(原文ママ)など汚い言葉を使う。老人は商売をするのも大変だし、その上蔑視される。そんな世の中だ。朝鮮人を見ていると、心の中は不満でいっぱいだ。それを表現することが出来ない。口に出す事が出来ない。怖くて。自分だけが死ぬのはいいが、家族がいるから。早く解決されなければいけないのに。

-北朝鮮で一番大きな社会問題は何ですか?

-私が見るに、ヒロポンだ。

-中国でこっそり売るためにここに来る北朝鮮の人はいますか?

-ここは小さな町だから。2003年度に丹東市の公安局長が麻薬を密輸して(警察に)ひっかかって銃殺されて、巻き添えになった人が皆処罰された。北朝鮮からヒロポンを持ってこようとしてそうなった。大きな事件だった。逮捕された人達は20年間麻薬商売をしていたという。そこに公安局の局長まで関わっていたのだ。それで根っこを抜いたのだ。

-ヒロポンを売ってくれと頼まれたことはありますか?

-ある人が私に販路を頼んだことがあった。中国に売ってくれと。中国では麻薬に対する需要がとても高い。100グラム以上の麻薬を所持していると銃殺される。2007年度に、ある朝鮮人が丹東に麻薬を密輸した。北朝鮮産麻薬を10トン輸入した。それがコンゴに行ったところで捕まった。

-北朝鮮では、ヒロポンを中国に輸出させるためにどんな方法をとっていますか?

-幹部達や辺境の軍隊を巻き込んで麻薬を密輸する。軍隊が辺境地帯を守っているから、彼らの手助けがないとどうにもならない。私の婿が中国人で警察なのだが、何日か前に麻薬に注意しろと言っていた。北朝鮮の部隊の中で動いている麻薬は数tにもなるそうだ。

-中国でこのような(北朝鮮の人を助ける)活動をしたら、不利益があるのではないですか?

-私が朝鮮人達とよく会うのを知っているから、婿は私に気を付けろと言う。朝鮮人達は中国でヒロポンの需要が高いことを知っているので、私に預けて売ってくれとお願いする人も多い。