ハンナラ党は12日午前、国会で開かれた主要党役員会議で政治犯収容所に収容経験のある脱北者キム・ヘスク(50)さんを招待し、北朝鮮の深刻な人権問題のリスニングを行った。国会法司委で審議中の北朝鮮人権法案の8月の臨時国会での成立に向け、党指導部の支援を積極化する意志がある。
キム・ヘスクさんは、北倉18号管理所で28年間の収監生活を強いられた脱北者だ。28年間は最も長い収監期間である。今月8日に行われたクォン・ジェジン法務部長官の人事聴聞会で法司委での証人としての採用が推進されたが、野党の強い反発で失敗に終わっている。
キムさんの証言を主導したハンナラ党北朝鮮人権委員長イ・ウンジェ議員は、「役員会議にこの方を迎え北朝鮮の人権の実態を伺い、北朝鮮人権法を通過させる必要を把握する事が出来ると考え提案した」と趣旨を説明した。
キムさんは、1975年に祖父が朝鮮戦争当時に韓国側に渡ったという理由から、家族と共に平安南道の北倉第18号収容所に強制収容された。その後28年間、収容所内の炭鉱労働に動員され2002年に釈放された。 2005年に脱北し韓国に入国、北朝鮮の人権実態を証言する活動を行っている。
キムさんはこの日の会議で悲惨な収容所の公開処刑を証言した。「1997〜2000年が公開銃殺が一番ひどかった。金日成が死んだ後に起きた深化組事件後から公開銃殺が増えた。当時、一月に約70〜80人程度が公開処刑された」と話した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面続いて「1975年2月下旬から2002年8月まで収容所で様々な扱いと蔑視を受けながら28年間を生き抜いた。保衛員や安全員らが吐いたツバを口を開けて飲み込まなければ、殴られた」と証言した。
また「収容所の安全員や保衛員は人間ではない。彼らが遠くの方に見えれば、鼓動が早まるのがわかった。頭を下げて挨拶をしてそのまま通りすぎればいいものを、わけもなく座ったり立たせたりし、口を開けろなどと命令した」と証言した。
また、韓国の対北支援について「韓国は米や小麦粉を北朝鮮に送ったが、私たちはそれを受け取った事は一度もない」と言った。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面キムさんによると、北倉管理所は4mの高さの鉄条網で囲まれている。「収容所の住民には電気が与えられていないが、鉄条網には電気が流れている」とし、受刑者の逃走を防ぐためのシステムがあると証言した。
ファン・ウヨン院内代表は「キム・ヘスクさんの勇気のある貴重な証言に感謝する。北朝鮮人権法をはじめ、脱北者が韓国で素晴らしい生活をし、統一後に大事な経験を活かせるように最善を尽くす」と話した。
ハンナラ党のこのような動きは、北朝鮮人権法案に強く反発している民主党を迂回的に圧迫するための手段であると考えられ、民主党の反応に関心が集められている。