後継者・金正恩の今回の単独訪中は、北朝鮮の3代世襲政権の安定化を対内外に誇示する意味が大きいと言える。
昨年8月の金正日の訪中に金正恩が同行したとの主張もある。前回が中国に後継者を紹介する王世子冊封だとすると、今回の単独訪中が意味するのは、北朝鮮の次期権力者であることを公式化することだと解釈できる。
金正恩の訪中説は今年初めから出ていた。3代世襲に対する国内外の世論が思わしくない状況の中、中国の協力、支援を背景にして後継世襲過程での混乱と不安を抑えるという見方だ。
結局、金正恩の今回の訪中は、北朝鮮体制の存続において中国の重要性をもう一度確認する契機になった。この他にも彼の訪中時期が2012年の強盛大国進入(金日成生誕100周年)を1年後に控えた点から、中国からの支援を経済的業績とし、後継者の地位の強化を狙ったものと見られる。
金正恩が昨年の天安艦・延坪島事件を通じて軍関連での業績を誇示し、今回中国への投資誘致など、経済政策で成果を残すことで国内の評価向上を見据えたものという分析だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ジョ・ヨンギ高麗大教授はデイリーNKと通話で「金正恩は対内的に権力、能力を誇示する必要がある。住民の生活を改善できるという姿勢を見せるだろう」と話した。
これと関連して、最近活発化している中朝経済協力の成果が後継者金正恩の功績になるだろう。
今回の訪中団に張成沢・党行政部長が同行していたことが注目される。張部長は当初今月末に中国の丹東を訪問し、中国の高位要人と11.45平方kmに達する鴨緑江下流の「黄金坪」開発問題の最終協議を行う予定と発表されていた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面張部長の主導で交渉が行われている黄金坪の開発権を50年間の中国へ譲渡問題が、金正恩の手で成し遂げられる可能性も排除できない。
また、中国の長吉図(長春-吉林-図們江)の開発問題は、北朝鮮の羅津・先鋒の開放問題とも関連している。金正恩が今回の訪中で「長吉図」地域を訪問し、経済改革を率先するイメージを築くこともできる。
また、中国から後継者として公認を受け、北朝鮮内部への後継作業を加速させる意味も含まれている。対北消息筋は「金正恩の訪中の際に、中国が後継者を手厚くもてなしたという内容の内部宣伝が出されるだろう」と見通した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面今回の金正恩の訪中は、米韓への間接的なメッセージになるとの見方もある。金正恩の時代にも中国の後援は健在だという点を強調し、権力継承後も安定した政権維持が可能だとのメッセージを米韓に送る事である。
政策研究機関のある研究員は「米国との関係を断ったままでも体制維持が可能だというメッセージを送ることによって、積極的な対話を誘引するための外交的な戦略」と評価した。
また「北中経済協力等を通して中国指導部は確実に北朝鮮側であることを誇示し、韓国政府を圧迫しようとする意図」と説明した。
一方、今回の訪中は単なる「後継修行」のようなもので、無理な訪問は行わないだろうとの見解もある。金正日の健康が好転している中、金正恩への安定した権力委譲のために「速度調節」に出ているとの分析だ。