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新型コロナウイルス対策で延び延びとなっていた北朝鮮の新学期。当局は、今年2月20日から全国の小中高校、大学、幼稚園、託児所に対して冬休みを延長させる形で休校措置を取った。その後、新学期の開始は5度に渡って延期されたが、デイリーNKの内部情報筋は先月15日、6月1日からすべての学校を再開する方針が示されたと伝えた。

(参考記事:北朝鮮、コロナ休校が5度目の延期で混乱

ところが、またもや新学期の開始が延期されたと、別の情報筋が伝えている。

先月30日、全国の学校を対象に、道、市、郡の防疫所を含む非常防疫委員会が、衛生状態に問題はないか検閲(監査)を行った。その結果は散々なものだった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)で7割、両江道(リャンガンド)で6割、首都・平壌でも半数の学校が、政府の求める防疫基準に達していないことが明らかになったのだ。

「窓枠にホコリが溜まっていたり、割れた窓ガラスがそのままにされていたり、新学期を迎える準備ができていない学校が多かった」(情報筋)

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それを受けて教育省は急遽、新学期の開始を今月1日から3日に延期した。

各地域には新学期開始を延期する旨の緊急通知が下されたが、一部地域では児童、生徒に連絡が行き渡らず、予備登校日の先月30日に何も知らずに登校した子どもたちが、そのまま家に返されるはめとなった。

当局は学校に対して徹底した消毒を求めつつ、物資は一切供給せず、消毒薬などは学校に自主的に調達させていた。現場はその調達に精一杯で、消毒作業にまで手が回らなかったという。

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一部の学校では、「現代化費」との名目で、小中高の新入生の親から1人あたり2万北朝鮮ウォン(約240円)、それ以外からは1万北朝鮮ウォン(約120円)を徴収した。コメが2キロから4キロ半も買える金額だ。

北朝鮮では教育が無料であるはずなのに、なぜ費用が徴収されるのか。それは、無償教育が形骸化しているからだ。学校は、「壁を塗る」「パソコンを導入する」など様々な名目で、親からその費用を徴収する。国からは予算がまったく出ないので、児童、生徒やその親から搾り取るしかない。

(参考記事:北朝鮮、無償教育のはずが教育費払えず退学続出の謎

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それだけではない。学校は、児童、生徒にノルマを課して様々な物資の供出を命じるなど、物資調達システムの一つとして機能している。

(参考記事:北朝鮮国民「おがくず供出令」に不満たらたら

当局から不備を指摘された衛生状態だが、学校はまたもや親を動員することにした。先月31日、今月1日、2日の3日間、親たちに衛生事業を行わせたというのだ。作業内容は芝刈り、草取り、トイレのウジ退治などだ。

今は、都市住民が協同農場に動員され田植えを手伝う農村支援戦闘の期間だが、親たちはそれを放り出して学校の消毒や掃除を行っている。勤め人は、午前は職場に、午後は学校に行き、商人は午前は学校に、午後は市場に行く、といった具合だ。

黄海南道(ファンヘナムド)の苔灘(テタン)郡など、教育環境が道で最も劣悪な地域でも、3日には無条件で学校を開けとの指示が下された。

こんな状況で当局が乳幼児を持つ平壌市民を対象に調査を行った結果、「子どもを託児所に預けない」という人が全体の82%に達した。当局は国内での新型コロナウイルス感染者の発生を公式には認めていないが、国民は依然として不安に感じているということだ。