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この間、デイリーNKで連載した北朝鮮の食糧事情に関する企画記事は、北朝鮮社会の変化について韓国内での繊細な考察と対策を要求している。

市場では、コメの価格をはじめとする食糧価格は下降気味だが、北朝鮮の人口の5%の貧困層は、賃金も配給もなく、生存の危機に陥っている。

北朝鮮食糧問題の専門家であるチョン・グァンミン博士は、現在の北朝鮮の部分的食糧難の背景には、2009年末の『貨幣改革』の失敗が大きいと見る。たった一つの政策で、北朝鮮民衆の経済活動のための資金を奪い、北朝鮮の市場経済全体が萎縮し、購買力が大幅に落ちているという。そして市場経済からはじき出された階層が貧困層となり、かつては100世帯に1、2世帯だったのが、今では4、5世帯にも増加している。

しかし、この貨幣改革の後遺症は貧困層だけに現れたわけではなかった。北朝鮮の農場での食糧生産量を農民達は、北朝鮮当局に過少報告をする。これには官僚達も関わっている。市場経済が生み出す『賄賂』にどっぷり漬かった北朝鮮の官僚体系は、過去より不足している収入を公的な食糧からの『着服』で補っていると推測される。

「結果的に、北朝鮮当局の倉庫に入るはずの食糧が、様々な過程で組織的に流出している。これこそが供給不足に苦しめられている原因だ」というデイリーNKの分析は北朝鮮社会が北朝鮮当局と分離した次元で歩んでいることを語っている。

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これらの考察から、我々は二つの事実を確認できる。

一点目。貨幣改革の失敗によって銃殺された朴南基(パク・ナムギ)が、対策なき改革がどのような結果をもたらすのかを知っていたのかどうかは不明だ。金正日父子をはじめとする北朝鮮体制のエリートが、『首領体制を維持するために市場経済を押さえ込む』という政治優先主義を優先して「貨幣改革」を実施したのかもしれない。いずれにせよ彼らがマクロ経済的についてきわめて無知であることが露呈された。

金正日父子の思惑は外れ、北朝鮮住民達が政権に『非組織的で非意図的に』抵抗するという結果を産む。北朝鮮では米が戦略物資であることを鑑みると、今現在、民間人を対象に『軍用米供出運動』が繰り広げられているという事実が持つ意味が明らかになる。『コメ』という『戦略物資』を巡って、北朝鮮住民と当局が、市場経済と首領体制がつばぜり合いをしているということだ。

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二番目は、今生存の危機にある貧困層は、無謀な金正日体制の犠牲者であるという事実だ。彼らは北朝鮮当局から見捨てられ、貨幣改革の失敗で活動が弱体化した市場経済からもつまはじきにされ、食糧を入手する手段を失ってしまった。

北朝鮮当局は、世界中で食糧援助を要請しているが、貧困層を助けるためではない。金正日体制は、貧困層を救おうとしたことはない。むしろ、貧困層の生存危機まで利用して体制維持に必要な階層の配給状況を改善しようとしたり、戦略物資備蓄を狙っていると見るべきだ。

この状況に対して韓国政府はどう対応すべきか?

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まず、貧困層を救うためには「天安艦爆沈や延坪島砲撃に対する北朝鮮当局の謝罪問題」とは分離するべきだ。その理由は、互いの問題に相関性がないためだ。

二番目、北朝鮮政権がしびれを切らして、韓国に対して天安艦、延坪島事件について謝罪すると期待するのは賢明ではない。金正日体制は、謝罪よりは北朝鮮住民をさらに苦しめることを選ぶだろう。

金正日体制の権威を弱体化させ、当局が独占しようとする食料を住民達に分け与えられるようにすべきだ。首領体制の権威を弱化させるには、市場経済の活性化が最も近道であることは言うまでもない。

三番目、北朝鮮の再挑発があった場合、韓国内での世論が悪化することを防ぐ必要がある。すでに、韓国の左派の一部では天安艦、延坪島事件が、韓国が北朝鮮に支援を中断したことに帰因し、李明博政府の政治的責任が大きいと主張しているが、これらの批判は的外れだ。理由は簡単だ。北朝鮮政権は「金大中、盧武鉉政権の時期にも挑発をしてきた」からだ。

この間、北朝鮮は韓国が支援をする度に、挑発を敢行し韓国政府を無視してきた。その理由は金正日があくまでも食糧援助を上の立場から受け取るというポーズだ。よって、金正日体制は、丁寧に対応してもしなくても必ず挑発する。しかし、北朝鮮の挑発に不安な韓国国民の一部は、挑発を韓国政府に転嫁する。

もちろん、北朝鮮の貧困層に食糧を与える事は簡単なことではない。しかし、分配透明性を高めるための法案はある。WFPと共同で韓国の民間団体が支援するのも方法の一つだろう。

押さえるべきポイントは、李明博政府が北朝鮮の貧困層の生活問題と医療問題については、韓国自らが解決するのだという提案を公にすることだ。もちろん金正日がこれを受け入れるわけがない。しかし、この提案は北朝鮮の挑発に対する対応策になるだろう。

また、市場経済を活性化する方法を講じるべきだ。貨幣改革以後の北朝鮮住民の購買力を貨幣供給量を増やすことによって活性化することが効果的だ。

李明博政府の『非核・開放・3000』は現実的に実現されないだろう。しかし、北朝鮮体制が市場経済にシフトを転換し始めるなら、北朝鮮住民の生活条件を画期的に改善するという意志を韓国政府が明らかにし、北朝鮮人民の自然発生的市場経済を活性化させようとする努力を支援する義務がある。

韓国が北朝鮮を助ける事の本質は、『北朝鮮体制を助ける』のではなく『北朝鮮住民の生活条件を改善する』ことだ。

金正日体制が、核放棄をする可能性は限りなくゼロに近い。しかし、市場経済の発展を促す事によって間接的に核放棄せざるを得ない状況を作り出すことは可能だ。長期的に見た場合、首領体制と市場経済は共に歩んで行くことは不可能だからだ。市場経済が強まれば、首領体制は弱化し、首領体制が弱まれば弱まるほど核保有の意味はなくなっていく。

こういった視点から北朝鮮の市場経済の発展を促すべきだろう。