北朝鮮で大人気「大麻サウナ」の知られざる効能

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汗蒸幕(ハンジュンマク)は朝鮮半島伝統のサウナだ。韓国では、日本の銭湯のような感覚で愛用されている。いつからあったのかははっきりしないが、1422年には存在を示す記録がある。近代に入って日本式の銭湯の影響を受けるも、浴槽よりもサウナがメインである点は今に至るまで変化がない。

北朝鮮でもサウナは人気だ。全国各地にサウナを中心としたレジャー施設、蒼光院(チャングァンウォン)が開設されているが、近年では民間人の経営するサウナの方が施設がよく人気を集め、さらには不倫や売春の現場ともなっている。

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そんな北朝鮮のサウナ業界で、今人気を集めているのは「大麻サウナ」だ。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、チュチェ(主体)思想塔のお膝元、東大院(トンデウォン)区域・東新三洞(トンシンサムドン)にあるサウナは、最近になって大麻サウナを始めた。THC(テトラヒドロカンナビノール、大麻の有効成分)を含んだカンナビスではなく、ヘンプ(麻)の茎の皮で作った糸を利用した「大麻加工品」を使ったものだ。

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主な客は、病院で治療を受けても薬を飲んでも治らないという慢性病患者だが、健康な人でも一度行けばやめられなくなるという。

このサウナは、「人間の体内にはリンが溜まるが、これが病気の主な原因だ。大麻ハンジュン療法を利用すれば、リンを抜くことができる」と、科学的に証明されていない論拠を元に宣伝を行っている。1回の利用料金は、サービス内容に応じて1回5000北朝鮮ウォン(約65円)から2万北朝鮮ウォン(約260円)。一度に4〜5人が入れて、15分から45分程度の利用が可能とのことだ。

ちなみに北朝鮮には、大麻を規制する法律は存在しないと言われており、地方では乾燥させた大麻をタバコの代用として使用することもあるという。

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大麻サウナの評判は上々で、平壌市内の他の地域でも大麻サウナが盛業中だ。その代表格が、船橋区域の永済洞(ヨンジェドン)にある平壌大麻紡績工場の裏門にあるサウナだ。「大麻ハンジュン療法」を前面に出して営業している。平壌大麻紡績工場との関係は不明だが、工場から大麻加工品を仕入れている。東大院区域の大麻サウナは当初、別のところから大麻加工品を仕入れていたが、今ではこの工場から仕入れるようになっている。

実はこの工場、元々は北朝鮮の民族経済協力連合会傘下のセビョル総会社と、韓国の安東大麻紡績が出資した南北初の合弁会社が運営していたものだ。

安東大麻紡績のキム・ジョンテ会長は2002年、民族経済協力連合会から「平壌で大麻を使った繊維工場をやらないか」と提案を受けた。紆余曲折の末、6年後に完成したが、その間に韓国では、南北経済協力に積極的な盧武鉉政権から、消極的な李明博政権に変わっていた。

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竣工式に参加する予定だったハンナラ党(現自由韓国党)の議員に対し、北朝鮮は入国不許可を通知した。

(参考記事:韓国・李明博大統領の側近、訪朝できず

同じ年の7月には、南北経済協力の象徴だった金剛山を観光で訪れた韓国人女性が、警備にあたっていた朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士に射殺される事件が起きた。

(参考記事:北朝鮮国民「金剛山射殺事件に衝撃」

技術者の訪朝が認められなくなり、2010年の韓国政府の対北朝鮮独自制裁「5.24措置」で、南北共同の運営は中断した。それ以降は、中国企業との合弁の動きがあったが、うまくいかなかった。

しかし、この工場は現在「活発に稼働している」(情報筋)とのことで、安東大麻紡績が導入した設備が活用され、北朝鮮が独自の技術で大麻加工品を開発、生産している可能性も考えられる。

安東大麻紡績のキム・ジョンテ会長はデイリーNKの電話取材に「一部の設備が依然稼働していることは知っている」とし「投資をした立場で、設備が停まっていることほど胸の痛いことはないが、工場が稼働し北朝鮮の労働者が働き、経済に役立っているとするならば、とてもいいことだと考える」と述べた。