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インタビュー日時:2月末頃
インタビュー対象者:平安南道居住

1.基本物価

-コメ価格の変動推移(2010年12月1500ウォン/ 2011年1月15日2300ウォン/ 2月15日1700ウォン/ 2月20日1800ウォン/ 2月22日1950ウォン)
*2011年1月15日に価格が跳ね上がった理由:軍用米の回収によってコメ流通の統制を強化、(28日から下落)

-トウモロコシ価格の変動推移( 2010年12月650ウォン/ 2011年1月15日1900ウォン/ 2月15日900ウォン/ 2月20日800ウォン/ 2月22日1000ウォン)
*トウモロコシは米の代用食品で、コメ価格の変動と連動している。

2.市場現況

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-特に変化はない。
-市場の品数は貨幣改革前とさほど変わらないが、物価が持続的に上昇している為、購入者は減少中。

3.電気供給の現況および交通状況

-昨年11月から1月中旬まで全く供給されていないが、1月中旬からは1日平均30分程度の電気が供給されている。(現状では電車で通常12時間の距離を1週間程度かかる)
-列車への無賃乗車、旅行許可証が無いのが発覚した場合、非正規料金の10倍の罰金を請求され、これを払えない場合には、列車保安員が直接集結所に送ったり、近隣駅の保安員に身柄を渡す。列車の中での検閲は5回。
-バスを利用する人々のほとんどは商売人らだが、稀に出張客らも利用する。

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4.食料事情および配給の現況

-配給は全く成り立っていないが、何とか配給を行っているのは軍と安全部、保衛部などだが、安全部と保衛部の場合、家族は除外され本人だけに行われている。
-現在は農村を中心に食料事情がかなり厳しく、トウモロコシご飯でも食べれるなら、比較的ましな方だ。多くの人々が麺類で食事を解決している。
-農村で三食を食べる人は30%、二食は20%、一食は30%程度で、残りの20%はまともな食事を取れずにいる。黄海南・北道に共通した状況だ。
-このように農村の生活が厳しいのは、昨年の稲作が不作だったのもあるが、各協同農場が収穫量を水増し報告し、農場員への食糧が不足しているからだ。これに昨年11月から今年1月まで軍用米の回収を名目に、家宅捜索が強化され大部分の農民が隠し持っていた米を奪われた。

5.韓国商品の流通の現況

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-昨年上半期までは(公団がある)開城から物が入ってきた。ねじ、工具、服、器、おもちゃなどの韓国の商品がたくさん入ってきたが、現在は取り締まりが厳しく非常に減った。現在、最も多く流通しているのは、チョコパイ、陶磁器器、衣服などだ。
-韓国の商品を購入層は比較的豊かな人々で、これを販売する人々は安全員や取り締まる人と手を組んで、商売人に物を渡す。商売人は取り締まりが厳しい為、秘密裏に販売、自宅での販売を行っている。

6.金正日の誕生日(2.16日)の現況

-祝電伝達会、忠誠の歌会、映画文献(TV放送)等で雰囲気を作り、企業所ごとに体育競技が進行された。
-人民班別に特別供給が行われ、豚肉1キロ、あるいは鶏卵18個、あるいは鶏の丸焼き一匹が供給された。以前と違い米と酒、油は供給されなかった。

7.軍用米献納運動

-党次元で推進されている事業で、昨年12月に指示が下された。中央党の次元では強要せず、自らの良心によって献納運動が行われなければならないとの指示が下されたが、地方では幹部によって強制的に執行されている。また、1トンを支援した人は、その場で入党をさせ、米の出処の調査を行わない等の特典を与えている。

8.口蹄疫、その他の伝染病

-平壌寺洞区域で口蹄疫が発生、1月初めまで平壌と近隣地域を中心に移動制限および統制が行われたが、現在は行われていない。
-国家レベルでの明確な対策が有るのではなく、韓国産のB型肝炎薬を金正日の配慮とし、学生に無償で注射している。
-口蹄疫に伝染した豚肉の流通は、商人も分からないだろう。情報によると、昨年12月30日に平壌市で口蹄疫にかかった豚500匹を地中に埋めたが、その翌日に豚が持ち去られたという。人々が盗んで市場で売ったのだ。
-口蹄疫以外の伝染病は無く、今冬が特に寒かったため、インフルエンザが流行している。

9.軍の現況と、人民保安部打撃隊の新設

<軍の現況>

-今年2月初め、18歳の軍人が弾丸70発、手榴弾2発を持って脱走した事件が発生、検挙の過程で軍人3人が死亡、2名が負傷。
-現在の食糧配給状態が継続すれば、この様な事件は、今後、多く発生すると思われる。この影響からか、今年に軍人募集規模が縮小されたという。
-以前は砲部隊を重要視しなかったが、現在は金正恩の影響から砲部隊を重視しており、昨年から訓練も強化されたようだ。昨年4〜6月頃、平壌防御司令部の砲部隊が一週間の集中訓練を行い、また、同時期に人民武力部の砲射撃場がある南浦、黄海南道殷栗郡でも大々的な訓練が行われた。綱領、甕津、龍淵の軍団砲部隊でも射撃訓練が行われた。

<打撃隊>

-打撃隊の新設は2009年の初めに話題になり、2010年3月に組織。
-正確名称は<特殊機動巡察隊>。
-規模は1道に200人、市級は100人で構成、道級はヘリコプター1台が配置され、ヘリポートも建設された。
-主要任務は暴動の鎮圧、しかし、現在は商売人から金を巻き上げているだけだ。
-主に軽歩兵出身によって組織されている。(軽歩兵出身ではなくても、カネがある場合は、裏口で入ってくる)

10.新政策

-未だに執行されてはいないが、今年1月の党中央の指示によれば、一般党員が社会保障(病気や障害によって国家の支援)に入れば、既存の党証を返還し名誉党員証を受け取る事になっているが、名誉党員は一切の社会活動の免除が与えられる。党員の社会的待遇を高め、人気が落ちた党員への関心を高める為だと思われる。
-今年卒業する中学生、大学生は社会に集団で進出をさせるという。現在、大学では集団進出に対する思想教育を行っている。
-今年軍人募集事業が大幅縮小されて進行される。