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ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わってはや1ヶ月。非核化、中朝関係の改善、そして経済制裁の解除に向けた動きが停滞する中、北朝鮮の国内では今のところ、特異な現象は現れていない。

昨年の凶作にもかかわらず、市場でのコメ価格は1キロ4000北朝鮮ウォン台に下がり、対ドルレートも1ドル8000北朝鮮ウォンを維持している。

米朝首脳会談についての世論は、地域や階層によってバラバラだ。複数のデイリーNK内部情報筋はそんな北朝鮮国内の反応を伝えた。

(参考記事:「金正恩が手ぶらで帰って来た」…北朝鮮国民の毒舌に「うわさ話禁止令」

平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)で内閣系の貿易会社に勤める内部情報筋は、石油製品や発電設備などの機械部品が輸入できなくなったことで、外貨稼ぎビジネスに支障が生じている状況を語った。

情報筋は「毎日のスケジュールをどのようにして埋めようか、いろいろ考えてしまう」と語り、制裁による苦境で仕事がなくなったことを説明した。

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「今まで取引していた品目でも、中国の業者は制裁に引っかかるとして慎重な姿勢を取っている。北朝鮮から輸出しようとすると様々な口実で買い叩こうとするので、ノルマの達成が難しい。中朝貿易では中国業者の方が声が大きい(立場が上な)ため、どうしようもない。お互いが儲かるアイテムを探すのが今の課題だ」(情報筋)

首都・平壌に近いの平城(ピョンソン)で不動産投資をしているトンジュ(金主、新興富裕層)は「国家機関の人は自力更生、試練克服と強調するが、少し腹を探ってみると『制裁が解けなければ暮らしがますます苦しくなる』とホンネを語る。マンション用のインテリア資材はかなり儲かるのだが、そもそも仕入れが困難だ」とのことだ。

首脳会談が失敗した原因については「『トランプ大統領の責任』という幹部の言葉を住民は信じている」と情報筋は伝えた。つまり、当局の宣伝が功を奏していると言えよう。情報筋は同時に、米朝首脳会談、光明星節(2月15日)、最高人民会議代議員選挙(先月10日)など重要な政治的イベントに際して、当局が国内統制を強化したことで、国民の間に情報が広がっていないことを指摘した。実際、当局は口コミの発信源となる市場でのうわさ話を取り締まる強硬策に出ている。

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同時に、毎週行われる所属する職場や人民班(町内会)で行われる総和(総括)を非常に厳しくし、余計なうわさ話が出回らないように締め付けを強化した。

ただ、情報が出回っていないからと北朝鮮の人々すべてが米朝首脳会談の顛末を知らないというわけではない。仕事で海外に駐在している人は現地メディアを通じて、国内にいる人の中には韓国や米国のラジオを通じて情報に接しているケースもある。ただ、たとえ知っていたとしても、締め付けが厳しい中では他人に話そうとしないことから、情報が流通しなくなっているようだ。