最近、北朝鮮の住民が列車で荷物を盗まれる事例が増えていると、対北朝鮮援助団体「良き友」が伝えた。
「良き友」は5日に発行した機関誌で、”食糧泥棒が増えて、列車で他人に預けた荷物が無くなる事故がよく発生している”と述べ、“住民たちは汽車の中では誰も信じてはいけないと言っている”と伝えた。
列車の中で荷物を盗まれるのは、昨今のことではない。かつては集団強盗犯まで登場した。
90年代半ばの大量餓死の時期には、ほとんどすべての駅と列車の中で、旅行客を狙う専門の集団がいた。
3~5人組になって、お金をちょっと持っていそうな人に接近し、1人が声を掛けている間に、もう1人が荷物を盗んで、更に別の1人がその人を変な所におびき寄せるという手段をとった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面2002年に入国した脱北者のキム・ミョニル(仮名)氏は、“96~97年に食糧難が本当に厳しかった時、荷物を持っていた人々は全て集団強盗犯の目標となった”と語った。以下はキム氏の経験談だ。
キム氏は96年8月に、咸鏡南道のコウォン駅でうっかり居眠りをしていた時に荷物を失った記憶が、今も鮮やかだと語った。暑い夏で、駅の中は臭いが充満し、駅の外でビニールを敷いて座り、汽車を待っていた。だが、友人と夕飯を食べてお酒を一杯飲んだのが悪かった。
少しうとうととしていた所、友人がトイレに行くと言って私を起こして、リュックサックの紐をしっかりと握っているように言った。友人の大きな声で目が覚めた時、手にはリュックサックの紐だけが残っており、リュックサックは消えていた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面驚いて横にいる人達に、ここでリュックサックを盗んだ人を見なかったか聞いた。リュックサックを盗んだ人が向こうの方に逃げだしたと聞いたキム氏は、あわてて駆け出したが、荷物は見付からなかった。再び戻って来て見たら、誰もいなかった。よく考えて見たら、方向を知らせてくれた人も同じ仲間だったとキム氏は語った。
脱北者のパク・ミョンオク(仮名)氏は当時、”隣りの人に睡眠薬が入った飲み物をもらって飲んで眠ってしまい、荷物を全て盗まれた人も多かった”と語った。
パク氏は“そのため、知らない人がくれる食べ物や水は飲まないという言葉が、商売をする人々の間で広まった”と話した。当時は、中国産の工業製品を売る人が恵山に集まって来ていたので、恵山では集団強盗犯が幅を利かせていた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面あれからもう10年以上経った。10年経てば山河も変わるというが、北朝鮮はまだ10年前そのままのようだ。