モンゴルのウランバートルで5日から6日にかけて開かれた、日朝国交正常化作業部会が、具体的な成果がないまま幕を閉じた。だが、日朝両国は今後の対話の余地を開いたという点で、肯定的評価を下している。
北朝鮮代表団のキム・チョルホ外務省アジア局副局長は6日、会談後の記者会見で、“両者は国交正常化のために、誠実に努力することで合意し、今後、誠意を持って頻繁に協議を続けることにした”と明らかにした。
北朝鮮の立場を代弁している、朝鮮総連の機関紙、朝鮮新報もウランバートル発の記事で、“拉致問題に関する言葉を聞いた後も、感情があまり傷ついていない朝鮮代表団の撫?ゥら推測すると、日本の代表団がハノイ会議の二の舞を演じなかったように思われる”と伝え、今回の会議の雰囲気が、3月のハノイでの第1回実務会議に比べて、多少和らいだことを示唆した。
第1回会議当時、日本側が拉致被害者問題を取り出すやいなや、北朝鮮代表団が席を外して、会議自体が決裂した。
日本側の美根慶樹首席代浮焉A“拉致問題など、両国の懸案が解決されたわけではないが、意見を取り交わすことにしたことは成果”と言い、“国交正常化に向けた、具体的行動についても協議することで合意したのは、将来につながる可能性がある積極的要素”と評価した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面オーストラリアで開かれているAPECに参加している、 町村信孝外相もこの日、“2日間行われた、日朝国交正常化作業部会の会議で、具体的な進展はなかったが、今後解決できる土台を築いた”と肯定的に評価した。
だが、核心議題である、北朝鮮による日本人拉致被害者問題については、両者とも以前の立場を固守して、進展は見られなかった。
キム副局長は“拉致問題は、日朝関係が最悪の状態なので、議論する段階ではない”と述べ、“この問題は関係が円満になり、信頼が構築される時に議論できる事項”と明らかにした。北朝鮮側は、日本人拉致被害者問題は、全て解決されたという従来の立場を再び強調した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面日本側は今回の会議で、日本人拉致被害者に対する再調査と、日本航空機‘よど号’のハイジャック犯らの身柄の引き渡しなどを要求した。
これに関し、北朝鮮は“日本政府とよど号の関係者が協議する問題”と言いながら “このために場所を提供する用意がある”と言い、北朝鮮国内で両者接触を取り持つという意思を表明した。
よど号ハイジャック犯問題は、アメリカが北朝鮮をテロ支援国に指定した根拠にしている事案で、北朝鮮のこうした積極的な態度は、テロ支援国の早期解除を狙ったものであると見られる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面専門家らは、北朝鮮が日本の拉致被害者問題は全て解決されたという立場を固守しているため、これに対する再調査の意思を明らかにすることは難しいが、よど号ハイジャック犯を引き渡す問題は充分に選択可能なカードであると分析している。
ドイツの世界地域研究所のパトリック・コナー博士はRFA放送とのインタビューで、“北朝鮮の指導部の立場としては、よど号ハイジャック犯を日本に引き渡す問題は、日本側と交渉が可能だと考えていると思われる”と述べ、“だが、北朝鮮がハイジャック犯らを日本に渡しても、日本の世論が拉致問題の解決に対して満足しない可能性もある”と予測した。
コナー博士はまた、“日本が今回の実務接触で、真摯な姿を見せたのは、最近6ヶ国協議が進展している状況で、邪魔者のイメージを見せないため”と指摘した。
一方、米朝関係が急速に進展している中、日本が今後も拉致被害者問題を強く提議することは大変だと専門家らは見ている。最大の同盟国であるアメリカが、北朝鮮との交渉に乗り出している状況で、日本が独自に反対の声を出すことは負担として作用するはずだということだ。
北朝鮮に対する強硬路線で国民の支持を得た安倍政権の立場としては、拉致被害者問題に関する妥協がどの線までできるかということをめぐって、ジレンマに陷る可能性もある。