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北朝鮮に面する中国遼寧省の丹東では今年3月30日、北朝鮮の新義州(シニジュ)から約100人の女性が中国に入国した様子が目撃された。また4月には、吉林省延辺朝鮮族自治州の和龍に北朝鮮女性400人が現れた。いずれも中国に派遣された北朝鮮労働者と思われる。

(参考記事:【画像】寂しげに帰国する北朝鮮美女たちの行く先

このように中朝国境地域の中国側では、中朝首脳会談が行われた後の今年3月末から、北朝鮮の労働者と思しき集団が幾度も目撃されている。人手不足に苦しむ中国東北地方の企業と、外貨不足に苦しむ北朝鮮の貿易会社の利益が合致した結果と思われるが、中国政府の対北朝鮮制裁にほころびが生じたのではないかとの指摘がなされていた。

ところが、今月に入ってこのような動きにストップがかかった。

中国丹東の情報筋は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に、渡江証を持って中国に集団で入国しようとしていた若い北朝鮮女性の集団が、入国を拒否され北朝鮮に帰っていったと述べた。彼女らを中国企業に就職させようとしていた北朝鮮の貿易関係者は困惑しているとのことだ。

中国の入管職員は、渡江証を持って中国に入国しようとする北朝鮮人に対して、滞在目的などを事細かく質問する。中国で違法就労しようとする人をみわけるためだと情報筋は説明した。

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この渡江証とは、新義州市の保衛部(秘密警察)が市民に限って発行する臨時の通行許可証で、滞在できるのは丹東に限られており、就労はできないことになっているが、以前からこれを利用して中国で働く北朝鮮人が跡を絶たなかった。

昨年10月に採択された制裁決議2375号は、国連加盟国に対して北朝鮮労働者の就労許可を更新を禁じている。また、昨年12月に採択された制裁決議2397号は、現在滞在中の北朝鮮労働者を2019年末までに帰国させることを義務付けている。これを受けて中国政府は、自国内の北朝鮮労働者を帰国させる措置を取った。

上述の通り、今年3月末から規制が緩和されたが、6月末からは状況が一変した。入国審査が強化され、ほぼ毎日入国拒否される人が発生するようになったのだ。

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ただし、審査強化の理由は明らかになっていない。

「中国政府の対北朝鮮制裁の緩和に対する国際社会の批判的世論が影響を及ぼしたのかは確認されていない」(情報筋)

中国の別の情報筋によると、丹東市政府は、渡江証を持って中国に入国した北朝鮮労働者を違法に雇用している企業に対して、雇用契約の期間とは関係なく、北朝鮮に送り返す措置を取っている。そのせいで、今月に入ってから数百人の北朝鮮労働者が帰国させられたとのことだ。

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しかし、丹東市は指示の理由を明確にしていない。今まで中国企業の間では、賃金が安くよく働き離職率も低い北朝鮮労働者の確保をめぐり、頻繁にトラブルが起きていた。とは言え、それだけで北朝鮮労働者を追い返す理由にはならないだろう。

米トランプ大統領は6日、中国製品に対する追加関税を発動し、米中貿易摩擦が激化している。そのような状況で米国を下手に刺激するのは避けたいという中国の思惑が、北朝鮮労働者の入国拒否、強制帰国の背景にあるとも思える。