9月上旬には『金正日体制末期』の骨組みが現れるだろう。そして、3代世襲政権の生存戦略の方向性をある程度類推出来るはずだ。
6月26日に北朝鮮当局は「9月上旬に労働党代表者会を招集する」と発表した。党代表者会の招集目的も明らかにした。「朝鮮労働党の最高指導機関の選挙」が目的である。北朝鮮問題を研究してきた専門家らは、党代表者会の招集主体が『朝鮮労働党中央委員会政治局(決定書)』という事実に注目している。
これまで党政治局は事実上有名無実だった。金日成、呉振宇が死亡した後の政治局常務委員は、金正日たった一人であった。冗談話をすれば、『政治局常務委員会会議』は金正日が一人で食事を取りながる開く事もでき、夜遅くにコニャックを飲みながら行う事もできた。
金日成の死亡が1994年、呉振宇死亡の1995年から15年間を一人で『朝鮮労働党政治局常務委員会会議』を行なってきたと言っても過言ではない。共産党組織を少しでも知っている人々ならば、これがどれくらい馬鹿げた事実であると言う事が分かるはずだ。
共産主義社会の全ての組織は指示℃キ行体制だ。『党″痩ニ体制』という表現される通り、『党が指導し国家が執行する』という意味だ。党は国家に対して排他的指導権を持つ。共産主義社会での不変の法則だ。韓国の新聞に時折、『朝鮮は党が国家に対して優位にある』という表現を見かけるが『優位』、『下位』という概念でなく、『指導』と『執行』の概念。国家機関は無条件で党の指導を受ける。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面党内部でも指導と執行に分かれる。政治局は指導機関、書記局は執行機関だ。書記局の中でも組織指導部は他の部署に対する指導機関だ。中央党は地方党を指導する。中央党だけが『組織指導部』であり、地方党は『組織部』だ。
ソウルを訪問する北朝鮮の『00視察団』の内部にも指導の役割と執行の役割に分かれる。前に立って話をする人が執行役で、後で黙黙と働いている人物が指導役だ。これは指導役が執行役を監視出来るようにする為だ。これは指導役が『党と主席(将軍様)の意に従い、執行役が忠実に働いているか』を評価している。
北朝鮮の全ての党組織、軍、国家機関、諸政党、社会団体や住民は、この様な指導℃キ行体制下で社会生活、組織生活を送っている。この様な組織体系で完全に自由な人物は首領が唯一だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、論理的にだけ見るならば、金正日も朝鮮労働党の党員として、中央党本庁舎の本部党書記室の細胞委員会委員長が駐在する党生活総括で党の生活指導を受けなければならない。だが、金正日が党員の資格で党生活総括に参加したという記録は見当たらない。
もし細胞委員長が原則を守るとすれば、金正日党員は朝鮮労働党組織の破壊、殺人、拉致、テロ、強制拘禁施設の設置、国家変乱、体制転覆、国家財産の横領、汚職、人身売買、蓄妾、公然淫乱などの有りとあらゆる法律違反で脱党措置に処されていただろう。
北朝鮮の最高議決機高ヘ党大会だ。党大会は1980年の第6次大会以降開かれていない。党大会を開くことが出来ない場合に開催できるのが、9月に開かれるという党代表者会だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面党代表者会は1958年に『8月分派事件』(56年)を完全に清算するために、そして1966年には甲山派を粛清し、党の職制を委員長制から書記制へと変更した。北朝鮮の60年近い現代史で2度しか開かれていないのだ。よって、今回の第3回党代表者会がどれほど重要なのかを察することができる。
これまでの状況から判断すれば、党代表者会は『党が不安定な状態で、新たな組織の整備が必要な時』に開かれると言う事だ。具体的には、3代世襲に少しでも害を与える、または害になると推定される分派を完全に清算する必要がある時に開かれる。そしてその土台の上に新たな指導体系が樹立されるのだ。
核心キーワードは『清算』と『樹立』だ。朴南基中央党計画財政部長の銃殺とその一派、対南関係人物の除去などの清算は既に進行されたようだ。市場経済、改革開放を主張する可能性がある者、金家への忠誠が疑われる者らは、既に解任されたか、保衛部から粗探しを受けているだろう。彼らを清算した後に、党代表者会で新たな組織を作られることになる。
そして、党代表者会の招集目的が明らかである事から、今回、政治局-書記局-検閲委員会-中央軍事委員会を整備する可能性が高い。 党中央委員会(中央委員、候補委員)を新しく構成した後、第6期22次全員会議を開き、政治局、書記局の選出を行うだろう。
観察のポイントは、政治局常務委員、委員、書記局秘書と部長らだ。これといった活動がなかった中央軍事委員会の変化も予想される。特に、昨年の改正憲法によって国防委員会が巨大化した為、党組織指導部と中央軍事委を通じて党レベルでの統制を強化するつもりだろう。後継体制を念頭に置くならば、若い軍人らが中央軍事委に補強される可能性もある。
核心ポイントは?誰が政治局常務委員になるか?キム・ジョンウンが政治局委員になるのか、または、党組織指導部長に任命されるかの問題であろう。
この答を正確に当てる事は難しいが、張成沢、呉克烈、金永春らの政治局入りが予想される。3男のキム・ジョンウンが政治局常務委員になる問題は、5割の確率だろう。
金正日の場合、1974年2月に政治委員に選出されたことで、事実上の後継者に確定した。その後の1980年10月の第6次党大会で政治局常務委員、組織指導部長、中央軍事委員に選出され、党を完全に掌握した。
キム・ジョンウンも今回は政治局委員、書記局組織指導部長に選出され、2012年に第7次党大会を開き、常務委員、組織秘書、中央軍事委員に選出されること、後継体制を強固にすると予想される。
しかし、金正日が2012年に再び党大会を開こうとするかは未知数だ。2012年に党大会を開催しない為に、今年に開催すると考えられる。党代表者会は『党大会を開催できない時』に開かれる。そして、金正日は『2012年まで生きていられるだろうか』という疑問を持っていると考えられ、後継問題を早いうちに片付けたいと考えているだろう。
政治局常務委員会は1980年の第6次党大会で設立された。それまでの政治委員会(政治局)にはなかった、新しい組織が作り出された。その目的は金日成−金正日の唯一指導体制の強化が目的だった。
本来の共産党政治局は『各界各層を代表する人物』によって構成される。正委員と候補委員が存在し、これらの代表として政治局常務委員会が構成される。常務委員会は人民、各界各層を代表する名実共に共産党の最高指導機関だ。
中国の場合、政治局常務委員は党・軍・国家の核心メンバーだ。 政治局常務委員会が党中央委員会を名実共に代表している。中国共産党総書記、国務院総理は必ず常務委員が引き受け、全人代委員長と政協首席、軍事委員会主席、国家主席、副主席、国務院第1副総理などが政治局常務委員だ。
中国共産党の政治局常務委員会は、中国共産党と中華人民共和国の未来を決める最高指導機関であり、政治の効率性と国家の目標設定や貫徹という観点で見るならば、自由民主主義国家の党−政府組織体系よりも集約されている側面がある。(理念と体制問題を分離し、中国共産党の組織体系と比較すると、ハンナラ党や民主党の組織は情けない状態といえる。民主労働党がマシな方だ。党組織体系だけを見れば、韓国は政治後進国だ。)
また、北朝鮮が1980年に政治局常務委員会を結成した理由は、別な理由もあった。政治局に各界各層の代浮?Wめるには構成員が多すぎた為、金一家の独裁の障害物となるとの判断から少人数で構成される政治局常務委員会を作ったのだ。常務委員会の設置の目的から中国共産党とはまったく違う。当時の常務委員は金日成、キム・イル、オ・ジンウ、金正日、イ・ジョンオクなど5の人だった。
最近になって黄長ヨプ前労働党国際書記は「あの当時、金日成の指示によって政治局常務委員会会議に2度参加したが、主に金日成、金正日、オ・ジンウが参加していた。 オ・ジンウはただ黙っており、金日成、金正日が全ての案件を処理していた」と話した。
朝鮮労働党政治局の常務委というものは、『我が党にも政治局商務委がある』という対外宣伝用であり、その内幕は金父子が好き勝手に振舞うシステムだったのだ。(続く)