北朝鮮の肥料消費量は年間155万トンだが、実際の生産量は50万トンにとどまっている。不足分は中国から輸入しているが、それだけでは需要を満たせない。そこで北朝鮮当局は毎年「堆肥戦闘」つまり「人糞集め大作戦」を繰り広げるのだ。
毎年1月になると、当局は国民に人糞集めの過酷なノルマを課す。筆者が会ったある脱北者は、「北朝鮮国民は、日本や韓国では想像もできない苦行を国から押し付けられるが、堆肥戦闘こそ本当の地獄だった。あれだけは死んでもやりたくない」と語っていた。
(参考記事:北朝鮮、「人糞集め」に苦しめられる住民たち…糞尿めぐりワイロも)人糞集めは、ノルマを達成できなければペナルティーが待っている。そのため人糞には値段が付き、商品として市場で取引される。人糞を巡ってブローカーが暗躍、さらにはワイロまでが飛び交う世にも奇妙な光景が現出するのだ。
(関連記事:冬の北朝鮮で暗躍する「人糞ブローカー」登場)ただでさえ大変な堆肥戦闘だが、来年はさらに熾烈なものになりそうだ。