近年では、韓流ドラマを見て韓国社会に憧れ、脱北する若い女性も少なくない。そのせいか、金正恩氏は韓流を厳しく取り締まる方針を打ち出している。一昨年5月には韓流ドラマのファイルを保有していた容疑だけで、治安当局が女子大生に過酷な拷問を加え、彼女を悲劇的な末路に追い込んだ。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)金正恩氏が、政治的狙いがあるとはいえ、一般庶民も楽しめる娯楽を提供しようとすることを全否定するつもりはない。しかし、その裏で海外文化に触れただけで過酷な拷問を加えるような人権侵害が横行している現状があることを見過ごしてはならない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。